経鼻スプレー型生ワクチン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 16:14 UTC 版)
「インフルエンザワクチン」の記事における「経鼻スプレー型生ワクチン」の解説
詳細は「弱毒生インフルエンザワクチン」を参照 経鼻スプレー弱毒生ワクチン (LAIV)は、弱毒生インフルエンザウイルス株が鼻腔内へ感染を起こすことによって機能する。経鼻スプレー型の生ワクチンは、不活化型の注射薬と比べて新しいインフルエンザワクチンである。通常の注射型ワクチンによって誘導される血中の抗体(IgG抗体)に加えて、感染経路である鼻の粘膜に別のタイプの抗体(分泌型lgA抗体)も誘導することによって、粘膜へのインフルエンザウイルスの侵入を抑えることができると考えられている。従来の注射薬タイプの不活化ワクチンには、分泌型IgA抗体誘導の効果がないため、今後の有用性が期待されている。 2015年現在、カナダ、イスラエル、フィンランド、スウェーデン、ドイツにおいて、インフルエンザに対する危険性が高い個人に対して、優先的に推奨されているワクチンである。世界で初めて承認を行ったのはアメリカ合衆国であり、2003年に登場している。以降、世界中で1億回超の投与量が供給されている。2012年3月には、経鼻スプレーによって投与される4価インフルエンザワクチンであるFluMist Quadrivalent(製造者:アストラゼネカ)が、医薬品の認可を担うアメリカ食品医薬品局(FDA)によって、承認された。このワクチンは、対象年齢が当初は15歳以上だったが、その後2歳以上に引き下げられたことで乳幼児への接種例が増えた。しかし、その後アメリカ予防接種諮問委員会(ACIP)による「2-17歳での効果が認められない」との報告を受けて、アメリカ疾病予防管理センター (CDC)は、2016-2017年のインフルエンザ流行期にはこのワクチンの使用を勧奨しないと発表した。 日本においては、第一三共が、FluMist Quadrivalentの製造メーカーであるアストラゼネカと提携し、経鼻スプレー型インフルエンザ生ワクチンを2016年に医薬品医療機器総合機構へ承認申請を提出している。2019年12月現在、承認には至っていないが、アメリカ合衆国から個人輸入して使用している医師は存在する。 アメリカ疾病予防管理センター (CDC) によると、以下の人々は弱毒生ワクチン(経鼻スプレー型)は避けるべきとされている。 卵もしくはインフルエンザワクチンに対して重度のアレルギー反応の病歴を有する人 ギラン・バレー症候群の既往がある人 心臓、呼吸器、腎臓、肝臓、または神経系の慢性疾患を有する人 喘息あるいは呼吸器疾患の既往をもつ人 妊娠中の女性 アスピリン投与を受けている若年者 免疫不全をもつ人 クリーンルーム等の環境を必要とする人(たとえば、骨髄移植を受けた人など)を、今後7日間以内に訪問または治療・看護する人
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