経営とビジネス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 06:13 UTC 版)
ほとんどのストリートペーパーにおける販売は、ホームレスの販売者に定価の数割(通常10%から半額の間)で雑誌・新聞を売り、その後販売者が路上で売ることで、その時の売上をすべて得られる仕組みになっている。販売で得る収入は「自分の足で這い上がる」ためのものとされる。販売者が自らのお金で雑誌・新聞を仕入れ、販売で収入を得る仕組みにしている理由は、販売者自身がお金のやりくりに関するスキルを身につけるためである。ほとんどの新聞の販売者はIDカードやバッジ、メッセンジャーバッグを正式な販売者として登録されていることを証明するために装着している。ストリートペーパーの多くは、販売者に対して行動規範にサインを求めるか、あるいは「正しく振る舞う」ことを求めている。 米国やイギリスにおけるほとんどのストリートペーパー販売者はホームレス状態にあるが、それ以外の国(特にヨーロッパ)の新聞のいくつかは主に難民によって販売されている。販売者全員がホームレスというわけではなく、安定した住居はあるもののストリートペーパー販売以外の仕事を見つけることができない人や、ホームレスから出発したがストリートペーパー販売の売上で住む家を見つけることができて販売を続けている人もいる。通常、米国の主なストリートペーパーではホームレスや貧困であることを証明する必要もなければ、安定的に住める家を見つけたら販売者を辞めなければならないわけでもない。米国では2008年より従来の販売者の主流を形成していた「慢性的なホームレス」とは異なる、ホームレス状態になって間もない人、もしくは経済危機などで生活できなくなった販売者が増えるようになっている。このような販売者はまともな教育を受けていて幅広い実務経験も持っているが、2008年の金融危機によって職を失った人が多い。 ストリートペーパーは様々な方法で創刊されている。例えばストリート・センス紙(英語版)はプロフェッショナルなベンチャーである他紙と異なりホームレスや過去にホームレスだった人たちによって創刊された。多数、特に米国では地元政府や慈善団体による援助を受けたり、国際ストリートペーパーネットワーク、北米路上新聞協会といった業界団体が新規ストリートペーパーにワークショップや支援を提供している。多くはボトムアップ型で製作し、ボランティアやメディア業界の新規参入者が始め、段階的に専門職が参加することで拡大を図っている。ほとんどの新聞は活動資金の多くを販売による収益、寄付、政府による補助金で賄っているが、地元企業からの広告費で賄っている場合もある。『ビッグイシュー』英国版のように社会的企業の広告が多く掲載されているものもある。しかし、新聞社や支援者間で広告を容認するかで論争となっており、広告は新聞にとって必要とする主張もあれば広告の多くが貧困層と共にある新聞には不適切だという主張もある。 ストリートペーパーのビジネスモデルは広範にわたっている。販売者サポートはホームレスのエンパワーメントにおいて高い価値を生み出し、ジャーナリズムを追求した内容、週刊として商業ベースに乗せるものも出ている。既存の組織やプロジェクトの一環として経営されているストリートペーパーがあるのに対し、特にヨーロッパのストリートペーパーは自主的なビジネスとして経営されている。大きい成功を収めているものとしてイギリスのビッグイシューは2001年に1週間で約30万部売り上げ、2000万ドル相当以上の利益を上げている。しかし、多くのストリートペーパーは月わずか3,000部程度の売上で利益も辛うじてという状況である。
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