米国での2例目BSE発生への日本の対応
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「BSE問題」の記事における「米国での2例目BSE発生への日本の対応」の解説
2頭目陽性牛の発覚によって、米国の検査体制・検査方法に対する信頼は低下し、日本への牛肉輸出再開は遅れる可能性が高まった。日本では全頭検査によって、国内で陽性牛が発見された直後の2001年10月以来、450万頭以上とされるすべての国産牛を対象に検査した結果、20頭の陽性牛を発見(2005年6月現在)してきたのに対し、米国では2004年6月から開始した検査で、約38万頭から1頭の陽性牛を確認したに過ぎず、米国の検査体制の脆弱さを指摘する専門家が少なくなかった。また、国立精神・神経センター武蔵病院の神経内科医師・池田正行ら専門家の中には、全頭検査を実施しても、現行の検査精度は不十分で「検査をすり抜ける陽性牛が存在する」とする主張もある。 全国消費者団体連絡会(略称: 全国消団連)事務局長の神田敏子は、2005年6月25日にNHKの取材に答え「〔安全性に〕疑いがあれば、米国産牛を輸入することになっても消費者として買うことはできない」と述べ、毎日新聞記者・望月靖祥の取材に対し、今回の事態について「米国の検査体制などは日本に比べて不完全なので、(2頭目の発生は)予想通り。内閣府食品安全委員会は外圧に負けず、しっかりと審議してほしい」と述べている。 参議院農林水産委員会は6月27日、集中審理の結果、北米産牛肉の輸入再開では国民の理解が得られるよう配慮するなど政府として万全の措置を講ずべきだとする決議を全会一致で採決した。一方、内閣官房長官・細田博之は6月28日、輸入再開に関し「BSE問題が発生する前の牛なので、(陽性となる)可能性があることは(米国政府によって)認められている。(輸入再開)基準でさまざまな考え方を確定しているので、(輸入再開問題に)直接には影響しない」と述べた。 多くのマスコミは、アメリカ合衆国での検査体制に疑問を呈したが、読売新聞だけはアメリカからの輸入再開に積極的で、社説で日本の基準を国際基準程度に緩和するよう訴えた。
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