等時曲線問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 20:53 UTC 版)
等時曲線問題とは、等時曲線がどのような曲線であるかを同定する問題である。この問題は1659年にクリスティアーン・ホイヘンスによって解かれた。彼は1673年初出の自著 Horologium Oscillatorium(英語版) 中で、等時曲線がサイクロイドであることを幾何学的に証明している。 軸を鉛直とし、頂点を最下点としたサイクロイドの降下時間、すなわち物体が最下点に到達するまでの時間は、サイクロイド上のどの点から出発したとしても互いに等しい... ホイヘンスは同時に、降下時間は物体がサイクロイドの動円半径と等しい距離を自由落下するのにかかる時間に π/2 を乗じたものに等しいことを証明した。現代的記法を用いれば、降下時間は r を動円半径、g を重力加速度として π√r/g と表わされる。 その後、この解は最速降下曲線問題への取り組みに活用された。 ヤコブ・ベルヌーイは最速降下曲線問題を解析学を用いて解き、初めて積分の用語が用いられた論文 (Acta Eruditorum(英語版), 1690) において発表した。 ホイヘンスが等時曲線問題を詳しく研究する過程で、円軌道を描く振り子は厳密には等時性をもっておらず、したがって当時の振り子時計は振幅によって異なる時間を刻むことが明らかになった。正しい軌道を得たホイヘンスは、おもりを糸で吊し、糸の最上点の傍に障害物を設置しておもりに等時曲線を描かせることを試みた。これらの試みは多くの理由から実用的でなかった。まず、糸が曲がることにより摩擦が生じる。さらに、等時曲線から外れることよりも大きな誤差要因はいくつもあり、あまり改善に役立たない。その上、振り子の「円軌道誤差」は振幅が小さくなるにつれて減少するため、脱進機(英語版)の改善によりこの誤差は大きく低減できる。 その後、ジョゼフ=ルイ・ラグランジュとレオンハルト・オイラーがこの問題を解析的に解いた。
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