第5条共同対処宣言(義務)に関する解釈
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「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」の記事における「第5条共同対処宣言(義務)に関する解釈」の解説
この条約の第5条では日米両国の「共同対処」宣言が明記されており、アメリカが集団的自衛権を行使して日本を防衛する義務を負うという根拠とされている。日本の施政下においては、日本はもちろん「在日米軍に対する武力攻撃」であっても」「日米が共同して対処すること」となる。この際、日本はあくまで「日本への攻撃」に対処すると考えるられるため、日米安保に基づいた行動を行う場合も集団的自衛権ではなく、自国を守るための個別的自衛権の行使に留まるとの解釈が過去になされた。 また第5条では「日本の施政下の領域における日米どちらかへの攻撃」についてのみ述べられており、在日アメリカ軍基地・在日アメリカ施設などは含まれていない。しかし、日本の領土・領空を侵害せずにこれらに対する攻撃を行うことは不可能であるため、アメリカの施設に対する攻撃であっても日本への攻撃と同等と見做して同様に対処を行う。その他に、日本を防衛するために活動を行っているアメリカの艦艇に関しても、第98回国会の衆議院予算委員会にて谷川防衛庁長官(当時)が「(前略)アメリカの艦艇が相手国から攻撃を受けたときに、自衛隊が我が国を防衛するための共同対処行動の一環としてその攻撃を排除することは、我が国に対する武力攻撃から我が国を防衛するための必要な限度内と認められる以上、これは我が国の自衛の範囲内に入るであろう」と答弁しており、自衛隊による防護が可能となっている。 2012年(平成24年)11月29日、米連邦議会上院は本会議で、尖閣諸島問題を念頭に日本の施政権についての米国の立場について「第三国の一方的な行動により影響を受けない」「日米安保条約第5条に基づく責任を再確認する」と宣言する条項を国防権限法案に追加する修正案を全会一致で可決した。 2013年(平成25年)1月2日、前月20日に米下院・翌21日に米上院で可決された尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象であることを明記した条文を盛り込んだ「2013年会計年度国防権限法案」にバラク・オバマ大統領が署名して法案が成立した。尖閣諸島の条文には「武力による威嚇や武力行使」問題解決を図ることに反対するとしている。
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