第12番 ホ短調 作品107
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「夜想曲 (フォーレ)」の記事における「第12番 ホ短調 作品107」の解説
1915年8月4日-9月15日ごろ作曲。1916年にデュラン社から出版。初演は1916年11月23日、ジャック・デュラン演奏会でルイ・ディエメの独奏による。この演奏会では、初演者のディエメに捧げられた舟歌第12番もともに初演されている。ロベール・ロルタに献呈された。 フォーレの夜想曲の傑作の一つ。第一次世界大戦のさなか、ニースに近い地中海沿いの町サン=ラファエルにおいて、舟歌第12番とともに作曲された。この時期、フォーレは歌曲をまったく書いておらず、ピアノ曲もこの2曲のみである。 夜想曲第12番と舟歌第12番は、フォーレの創作第三期の前期に見られた短い楽想を用いていない点で共通するが、性格的には両者は大いに異なり、夜想曲第12番の持つ野性的な荒々しさは、舟歌第12番の明るさ、透明感と著しい対照をなす。ネクトゥーによると、この曲には戦争の雰囲気と不安感が色濃く反映されており、北欧的な陰鬱さや壮麗なスタイルはブラームスの大規模な作品を思わせるが、短二度の鋭敏な響きを含めた不協和音など斬新な手法も用いており、ロマン派的な曲想を近代的な書法で実現した逆説的作品となっている。フォーレの夜想曲でこれほど劇的な力を備えたものは珍しい。 なお、初演者のルイ・ディエメ(1843年 - 1919年)は、1888年にパリ音楽院のピアノ科教授となり、リスレ、アルフレッド・コルトー、ロベール・カザドシュらを育てたピアニスト。また、献呈を受けたロベール・ロルタもピアニストで、1914年にはロンドンでフォーレのピアノ作品の全曲演奏会を3日間かけて挙行していた。
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