第一の狂人の物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「第一の狂人の物語」の解説
その狂人の若者は以前、カイロで父祖の代から続く絹織物の店の主人であった。ある日、上品な老女が来て、店で最も上等な絹織物を1反500ディナールで買って行った。老女はその日以降毎日、同じように1反500ディナールの絹織物を買って行ったが、16日目に買いに来たとき、財布を忘れて来たため、若者は家まで代金を取りに行くことになった。若者が老女と家の近くまで行くと、老女は「近所の女を見て誘惑されないように」と若者に目隠しをして、手を引いて屋敷まで行った。屋敷に入り目隠しを取られると、そこは豪華な宮殿で、若者が売った上等な絹織物は雑巾として使われていた。 すると、50人の若く美しい女奴隷を従えた一段と美しい女主人が現れ、若者に結婚を申し込んだため、若者は半信半疑ながら承諾し、法官を呼び法的に結婚し、それから20日間愛し合った。若者は店と母親が気がかりになり、一旦帰りたいと言うと、目隠しをされて、老女の手を引かれて、家に帰った。以降、昼は店、夜は妻の屋敷という生活が続いた。 ある日、若者が店にいると、1000ディナールはしそうな宝石と金でできた雄鶏の置物を持った美しい女が来て、若者の頬にキスをさせてくれれば、その置物をただで渡すと言ってきた。若者が承知すると、女は若者の頬に噛み付き、頬に傷がついてしまった。女は置物を置いて帰った。 夜になり、妻の屋敷に行くと、妻は怒っており、昼間頬にキスをした女の死体を若者に見せ、若者を狂人として精神病院に監禁したのであった。 帝王マハムードと総理大臣は若者の話を聞き、若者を精神病院から解放して、目隠しをされた場所まで行き、そこから歩いた歩数を思い出させて、屋敷を見つけ出した。そこは先帝の娘の一人で、マハムードの妻と異母妹にあたる人の住んでいる屋敷であった。帝王マハムードは2人を和解させ、一緒に住まわせ、若者を侍従に取り立てた。一同は幸せに暮らした。 類似の話:第二の乙女アミナの話
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