第IX(第9)因子製剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/27 23:55 UTC 版)
第IX因子製剤は、血液凝固第IX因子を抽出精製した血液製剤である。本来は、血友病B型の治療のために開発された製剤であるが、本来適応症とはされていなかった新生児出血(メレナなど)などにも、小児医療の現場では使われていた。第IX因子だけでなく、第II因子、第VII因子、第X因子も含まれていることから、第IX因子複合体製剤とも呼ばれる。 C型肝炎の原因となった製剤「クリスマシン」は、旧ミドリ十字(現田辺三菱製薬)が1976年から1985年まで製造販売していた非加熱製剤である。薬害エイズ事件の原因にもなった製剤であり、1985年にウイルス不活化処理がなされた加熱製剤に切り替えられたが、その後も非加熱製剤の自主回収が行われなかったことから、1988年頃まで臨床現場で使用されていたと言われている。 「PPSB-ニチヤク」は、日本製薬株式会社が1972年から1986年まで、日本国内の買血を原料として製造販売していた非加熱製剤である。 なお、薬害肝炎訴訟(後述)において、本製剤での国および製薬会社の責任については、大阪地裁および福岡地裁においては、原告側の請求は棄却された。東京地裁においては、製薬会社の責任が認められ、名古屋地裁においては、国の責任(および製薬会社の責任)を認める判決が言い渡された。しかしながら、この訴訟において最後の地裁判決となった仙台地裁では製薬会社については、一部責任が認められたものの国については、フィブリノゲンについても本製剤についても責任はないとの判断が下された。
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