移行原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/28 19:25 UTC 版)
「Elementary Calculus: An Infinitesimal Approach」の記事における「移行原理」の解説
本書第一版と第二版の間で、超準解析の理論的下地を含む理論的資料の大部分が第一章から巻末の最終章へ移された。 第二版においてキースラーは、延長原理 (extension principle) および移行原理 (transfer principle) を以下のような形で導入した: Every real statement that holds for one or more particular real functions holds for the hyperreal natural extensions of these functions.(試訳: ひとつまたはそれ以上の特定の実函数に対して成立する実数に関する任意の主張は、それら函数の超実数への自然延長に対しても成立する。) そしてこの原理を適用できる「実数に関する主張」のいくつかの例を与えた: 加法が閉じていること: 任意の x, y に対し、和 x + y が定義される。 加法の交換法則: x + y = y + x. 大小関係の逆数法則: 0 < x < y ならば 0 < 1/y < 1/x. 零除算の除外: x/0 は定義されない(英語版) 代数的な恒等式: ( x − y ) 2 = x 2 − 2 x y + y 2 {\textstyle (x-y)^{2}=x^{2}-2xy+y^{2}} . 三角恒等式: sin 2 x + cos 2 x = 1 {\textstyle \sin ^{2}x+\cos ^{2}x=1} . 対数法則: x > 0 かつ y > 0 ならば log 10 ( x y ) = log 10 x + log 10 y {\textstyle \log _{10}(xy)=\log _{10}x+\log _{10}y} .
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移行原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 06:18 UTC 版)
超実数の体系のアイデアは、実数の集合 R を拡張し、代数の基本公理を変更することなく無限小や無限大を含む体系 *R を構成するというものである。「任意の数 x に対し~」という形のいかなる主張も、実数にとって真であれば超実数にとっても真である。例えば「任意の数 x に対し x + 0 = x」という公理にもあてはまる。複数の変数に対する量化、例えば「任意の数 x, y に対しても、xy = yx」などでも同じことが成り立つ。この「実数体に対する主張を超実数体に対して引き移す」ことができるということを移行原理(英語版)という。ただし「いかなる数の集合 S に対しても~」という形の主張は引き継ぐことができない。実数と超実数とが区別される唯一の性質は、典型的には集合とは関係なく構成できる、関数や関係のような集合やその他の高位の構造や上の量化に依るものである。実数の集合や関数、関係は、全く同じ一階の性質をもつその自然な超実数への拡張を持つ。量化の制限に従うこの種類の論理的文は、一階述語論理における主張について述べられる。 しかしながら、移行原理は、R と *R とが全く同一の振る舞いを持つということを意味しない。例えば、*R において、次のような性質をもつ元 ω が存在する(即ち *R は非アルキメデス的である): 1 < ω , 1 + 1 < ω , 1 + 1 + 1 < ω , 1 + 1 + 1 + 1 < ω , … . {\displaystyle 1<\omega ,\quad 1+1<\omega ,\quad 1+1+1<\omega ,\quad 1+1+1+1<\omega ,\ldots .} しかし、R にはそのような元は存在しない。これは、ω が存在しないことは一階論理の主張では表現することができないから、起こりうるのである。
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