超実数とは? わかりやすく解説

超実数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/02 23:21 UTC 版)

超実数(ちょうじっすう、: hyperreal number)または超準実数(ちょうじゅんじっすう、: nonstandard reals)と呼ばれる数の体系は無限大量や無限小量を扱う方法の一つである。超実数の全体 *R は実数体 R拡大体であり、

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超冪による構成

実数列から超実数体が構成できることを見ていこう[7]。次のようにして、実数列の加法と乗法を定義する:

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無限小および無限大超実数の性質

超実数体 *R の有限な元全体 F局所環(実は付値環)であり、その唯一の極大イデアル S は無限小元全体によって与えられ、剰余体 F/S は実数体 R に同型になる。従って環準同型 st: FRker(st) = S かつ、各値 st(x) (xF)x − st(x) ∈ S となる唯一の標準実数となるものの存在が言える。言い方を変えれば、任意の有限超準実数 x は、ただ一つの標準実数 st(x) に(それらの差 x − st(x) が無限小となるという意味で)「極めて近い」のである。この標準実数 st(x)x標準部分函数英語版 と言い、概念的には x に最も近い実数を意味するものである。この函数 st順序を保つ環準同型であり、従って代数学的にも順序論的にもよく振る舞う。

  • st は順序を保つが、同調写像ではない。すなわち xy ⇒ st(x) ≤ st(y) だが、x < yst(x) < st(y) を導かない。
  • x, y がともに有限超準実数ならば st(x + y) = st(x) + st(y) および st(xy) = st(x)st(y) が成り立つ。
  • x が有限かつ無限小でないならば st(1/x) = 1/st(x) が成り立つ。
  • x が標準実数となるための必要十分条件は st(x) = x を満たすことである。

函数 st は、この有限超実数体 F 上の順序位相英語版に関して連続である(実は st局所定数函数になる)。

超実体

Xチコノフ空間英語版T-空間)で C(X)X 上の実数値連続函数全体の成す多元環とする。MC(X)極大イデアルならば、商環 F = C(X)/M は実数体 R を含む全順序体である。F が真に R を含むとき、(Hewwitt (1948) に従い)M超実イデアル (hyperreal ideal)、F超実体 (hyperreal field) と呼ぶ。ここでは F の濃度が R の濃度より真に大きいことは仮定していないことに注意(実際に同じ濃度を取り得る)。

特に重要な場合は X の位相が離散位相のときである。この場合、X はその基数 κ に同一視することができ、C(X)κ から R への函数全体の成す実多元環 Rκ に同一視される。このとき得られる超実体は R超冪 と呼ばれる。これはモデル論における超冪と同一である。

関連項目

出典

  1. ^ Hewitt, Edwin (1948), p. 74 
  2. ^ Keisler (1994).
  3. ^ Keisler
  4. ^ a b Kanovei, Vladimir; Shelah, Saharon (2004), “A definable nonstandard model of the reals”, Journal of Symbolic Logic 69: 159–164, doi:10.2178/jsl/1080938834, http://shelah.logic.at/files/825.pdf 
  5. ^ the super-real numbers の体系。superreal numbers と呼ばれる体系には、ほかに David Tall によるものもある。参考リンク: http://www.jonhoyle.com/MAAseaway/Infinitesimals.html
  6. ^ Woodin, W. H.; Dales, H. G. (1996), Super-real fields: totally ordered fields with additional structure, Oxford: Clarendon Press, ISBN 978-0-19-853991-9 
  7. ^ Loeb, Peter A. (2000), “An introduction to nonstandard analysis”, Nonstandard analysis for the working mathematician, Math. Appl., 510, Dordrecht: Kluwer Acad. Publ., pp. 1–95 

参考文献

  • Keisler, H. Jerome (2012) [1986], Elementary Calculus: An Infinitesimal Approach (2nd ed.), New York: Dover Publications, ISBN 978-0-486-48452-5—特に第一章に超実数の性質が、エピローグにその構成が、それぞれ平易に書かれている。 
  • Ball, W.W. Rouse (1960), A Short Account of the History of Mathematics (4th ed. [Reprint. Original publication: London: Macmillan & Co., 1908] ed.), New York: Dover Publications, pp. 50–62, ISBN 0-486-20630-0 
  • Hatcher, William S. (1982) "Calculus is Algebra", American Mathematical Monthly 89: 362–370.
  • Hewitt, Edwin (1948) Rings of real-valued continuous functions. I. Trans. Amer. Math. Soc. 64, 45—99.
  • Jerison, Meyer; Gillman, Leonard (1976), Rings of continuous functions, Berlin, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-90198-5 
  • Keisler, H. Jerome (1994) The hyperreal line. Real numbers, generalizations of the reals, and theories of continua, 207—237, Synthese Lib., 242, Kluwer Acad. Publ., Dordrecht.
  • Kleinberg, Eugene M.; Henle, James M. (2003), Infinitesimal Calculus, New York: Dover Publications, ISBN 978-0-486-42886-4 

外部リンク


超実数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 16:13 UTC 版)

モナド (超準解析)」の記事における「超実数」の解説

超実数体 ∗ R {\displaystyle ^{\ast }\mathbb {R} } の元 x {\displaystyle x} のモナドとは μ ( x ) = { y ∈ ∗ R ∣ x − y  is infinitesimal } {\displaystyle \mu (x)=\{y\in {}^{\ast }\mathbb {R} \mid x-y{\text{ is infinitesimal}}\}} で定義される集合である。 x {\displaystyle x} が有限のとき、 x {\displaystyle x} のモナド標準実数ただひとつだけ含み、これを x {\displaystyle x} の標準部分standard point)と呼ぶ。

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