神奈川フィル楽団員解雇争議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 03:36 UTC 版)
「神奈川フィルハーモニー管弦楽団」の記事における「神奈川フィル楽団員解雇争議」の解説
2012年4月に「演奏技術が著しく低いと沼尻竜典客演指揮者と金聖響常任指揮者から指摘があった、演奏中の態度も極めて悪い、度重なる呼出や始末書の提出要求に応じなかった」などとして楽団より解雇された2人のコントラバス楽団員が、楽団に対し、解雇無効、地位保全と賃金の支払いを求めて横浜地裁へ提訴した。申し立ては2013年8月1日付。楽団側は解雇の正当性を主張し、楽団員側は「沼尻指揮者の指摘はすべて伝聞に基づくものであり、金指揮者は陳述書を提出するまで一度の指摘もしていない、演奏中の態度が悪いとしたのは対立する組合員一人のみで観客から苦情が出たことはない、呼出・始末書の未提出は各人1回であり、すでに戒告処分を受けている」などとして、解雇が2人の労働組合活動(神奈川県公務公共一般労働組合神奈フィル分会の組合員)を理由にした"不当労働行為"にあたると主張した。 並行して神奈川県労働委員会へも労働法違反があるかどうかの調査審議が依頼され(労働審判手続)、2014年7月に県労働委員会は楽団の不当労働行為と2人への救済命令を出した。ブルーダル基金の成功により公益財団法人となったばかりの楽団は、「解雇は将来を見据えた真の健全化への苦渋の決断、理解してほしい」とコメントし、直後に上位組織である中央労働委員会へ再審査を申し立てた。 2015年11月26日、横浜地裁は「解雇は社会通念上相当ではなく、解雇権の乱用」であるとして、解雇無効と未払い賃金計約3000万円の支払いを楽団側に命じた。一方で、「結論は乱用だが、国内有数のコントラバス奏者に精神的苦痛を与え退団に追い込むなど、就業規則上の解雇理由に当たる事実も存在する」として、楽団員側が主張していた"不当労働行為"には該当しないとの判断を下した。 楽団側は地裁判決を不服として、中央労働委員会および東京高裁へ上訴したが、中央労働委員会の勧告に従い、楽団側が楽団員の解雇を撤回して解決金を支払うこと、楽団員が解雇の撤回後に合意退職することなどを盛り込んだ和解が2016年4月に成立した。 類似事件として日本フィルハーモニー交響楽団の「日フィル争議」を参照。
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