社寺参詣曼荼羅の空間構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 22:56 UTC 版)
「社寺参詣曼荼羅」の記事における「社寺参詣曼荼羅の空間構成」の解説
参詣曼荼羅はしばしば寺社再興を目的とし、また、霊場が霊場であることの条件のひとつとして不変性が求められるゆえに、特有の空間構成を伴っている。 霊場案内のための大縮尺絵図として、参詣曼荼羅には霊場と霊場へ至る参詣道、そしてそれらの周囲の地物(建物・橋・石造物など)と人物が詳細に描かれている。構図という点では、ほとんどの作例は俯瞰図として描かれ、対象の寺社の信仰世界を一図に収める。黄土や胡粉で背景を塗りつぶすという特有の描写法によって描かれた空間の奥行きは抑制され、画面全体が平面的に均質化される。それを補う意味で参詣道や川をジグザグに描いたり、雲や霞が描かれて距離をデフォルメ化し、山道に横線の階段を入れて区別する作例も見られる。こうした空間が遠近法を具備するのか、学説は一致を見ていない。 構図上のもうひとつの特徴は上方に山、下方に海(または川)を描くことである。天空には日輪・月輪が描かれ、善峯寺や多賀社のように金星や三日月が描かれる例もある。これら日月の対は昼夜ないし歳月の象徴として、霊場の永遠性あるいは自己完結性、すなわち霊場が完結した小宇宙であることを示している。
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