研究前史とは? わかりやすく解説

研究前史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 15:36 UTC 版)

藪の中」の記事における「研究前史」の解説

藪の中研究初期においては影響関係に関するものを除けば、「藪の中」を研究するということは事件の真相明らかにしようと試みることにほぼ等しかった発端となったのは有名な中村光夫福田恆存の間で交わされ論争である。中村が『すばる』創刊号において、真相与えられないことを事実整理されていない点にもとめ、それを構成不備であるとみなして活字向こうに人生見えない」と否定的な評価下した。それに対して福田は『文学界10月号で、そもそも事実というのは第三者にはわからないものであり、また三人証言事実ではなく三様の自己劇化経た心理的事実」を語っているため、矛盾していても問題はないとした。しかし福田は「真相」を必要としない超然とした態度をみせたようでいて、この後結局は矛盾をきらい真相再構成している。そしてこの論争割って入った形の大岡昇平の「弁護」により、「藪の中」論の真相求め傾向火がつくことになった福田は「真実わからないものだ」というのが「藪の中」の主題であるという前提立っているため、真相さがしはどうでもいいことかも知れないが、これは対象たる作品虐殺ではないだろうか。 — 大岡昇平芥川龍之介弁護する事実小説の間―」『芥川龍之介河出書房新社文芸読本〉、1975年 p.95 こうして真相探し研究のうえで「避けることのできない問題」となり、三人証言典拠つきあわせ細部検証して無数の論文書かれ同時に同じだけの「真相」が語られた。そのような流れ劇的に変化したわけではないが、三島譲や海老井英次らによって事実再構成は「単なる推理ゲーム」であり、そもそも藪の中」は「原画」を欠いているという主張がなされ、芥川は本来一つ真相へとまとめあげることを意図していたわけではないという流れ生まれた。こうして真相そのものではなく、なぜ真相さがしが頓挫するのか、どのようにして真相解釈が「命じられる」のかといった方向研究進んでいる。

※この「研究前史」の解説は、「藪の中」の解説の一部です。
「研究前史」を含む「藪の中」の記事については、「藪の中」の概要を参照ください。

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