研究内容・研究活動・業績
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「ゲオルク・フォン・デア・ガーベレンツ」の記事における「研究内容・研究活動・業績」の解説
『言語学』は1891年に初版が出版され、没後の1901年に第2版が、1969年にコセリウによって復刻版が出版された。 ガーベレンツは人間の言語を音声によって分節された思想表現であるとした。言語学は経験科学であるとして、演繹的な一般文法を否定した。言語法則のなす有機的システムを「言語精神」と呼び、個別言語研究の第一の対象は言語精神であるとした。 ガーベレンツはヴィルヘルム・フォン・フンボルトを「広い知識を哲学的炯眼と一体にした最初の人物」、「1825年の講演で内的言語形式の概念を導入した」と高く評価し、その強い影響を受けているが、孤立語を原始段階とする主張は今日では反駁されたとし、インド・ヨーロッパ語族の言語でも近代インド語は膠着語に、英語は孤立語に変化しつつあると述べている。一方、現代中国語は孤立語から膠着語に移行しつつあるとした。また、屈折語が文明を生んだという主張に対しては、最古の文明を創造したシュメール語が膠着語であることをあげて反対し、膠着語と屈折語は程度の違いに過ぎないとした。後にオットー・イェスペルセンは『Progress in Language』において、中国語の単音節性を発達の結果としたが、イェスペルセンの中国語データはほとんどガーベレンツの『中国語文法』から取られている。 この著書には後のフェルディナン・ド・ソシュールに通じる概念が散発的に出現する。ガーベレンツは言語の線条性に注目し、また言語を「言述」(Rede)、「個別言語」(Einzelsprache)、「言語能力」(Sprachvermögen)の3つに分けたが、それぞれソシュールのパロール、ラング、ランガージュの区別に相当する。また、共時論と通時論の区別についても述べている。ガーベレンツがソシュールに影響を与えたかどうかは議論が分かれるが、川島淳夫は「ガーベレンツからの影響がかなりあったことは否めないだろう」とする。
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