真の解散理由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 01:11 UTC 版)
表向きは「音楽性の違いにより解散」とされる場合でも、大抵は嘘であると言い切る人がいれば、実際に音楽性の違いが解散理由になると主張する人もいる。 「音楽性の違い」という解散理由を真実と見なす場合、若くして結成したバンドに多いという主張がある。若いメンバーで結成されたバンドは、各メンバーの音楽観が固まっていない場合が多く、活動を続けていく中で個々人の音楽観が変化し、メンバー内でやりたい音楽に差異が生じ解散に至るという。浅井陽は音楽の好みが一致する方がまれである上、バンドが自分のエゴをぶつける場であることから、少しでも音楽性が違うと不具合が生じるのは当然であるとの見解を述べている。また小泉恭子は、96人の高校生にインタビュー調査を行い、男子高校生で結成されたバンドは互いの「パーソナル」を誇示することから、音楽性の違いを理由として分裂しやすい、という知見を得た。同研究では、女子高校生のバンドの主な解散理由は人間関係であるとしている。 「音楽性の違い」という解散理由が虚偽の場合、真の解散理由としては、以下のようなものが挙げられる。 金銭をめぐる対立 - ほとんど無一文の状態で始まったバンドがある日突然売れて大金を手にすることで対立が生じる。 恋愛関係のもつれ - メンバー間で男性や女性を取り合うことで解散に至る。例えばアマチュアバンドの場合、メンバー唯一の女性を男性メンバーが取りあい分裂に至るケースがある。 人間関係の悪化 - メンバー間に不和が生じたり、嫉妬や名誉をめぐって対立したりした結果、解散に至る。特に「共通の趣味」として結成したバンドが売れることで、無名時代にはさほど問題とならなかったメンバー間のバランス関係が権力関係として顕在化するようになり、不和が生じる。例えば、女子高校生のバンドはメンバー内で気を遣いあうことで人間関係がもつれ、解散に至ることが多いという研究がある。 浅井陽は、バンド活動の目的が明確になっていないため解散に至ると述べた。バンド活動は趣味とビジネスの境界線が曖昧であるため、あくまでも趣味でいたいメンバー、演奏や楽曲で評価を得たいメンバー、お金を稼ぎたいメンバーが現れ、不和を生じるという主張である。特に「ついでに金になったらいい」と考えているバンドはお金を稼ぐための創意工夫をほとんどしないので、予想以上に世間からの評価を得られず、理想と現実の溝にはまり、ストレスや葛藤の矛先がリーダーや立場の弱いメンバーへ向かい、衝突・解散に至る。 メンバー内の不仲のきっかけが、曲作りの過程で対立が続いたことである場合、完成した楽曲がバンド史上に残る傑作となることも少なくないため、悪いことばかりではない。
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