盤と内部器官
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/22 04:27 UTC 版)
他の棘皮動物同様、クモヒトデ綱の動物は、炭酸カルシウム(方解石)の骨格を備えている。クモヒトデ類の骨格は、結合して装甲板のようになっている。 他の棘皮動物と同様、クモヒトデ綱の生体構造には、かなり明確に五つの対称軸を持つ(5放射相称)。中央の盤(ばん)に結合した5つの腕をもつ点において、その外形はヒトデ綱によく似ている。しかしながら、クモヒトデ類では腕と盤がはっきり区別できる点が異なる。盤にはすべての内臓が含まれている。つまり、ヒトデ綱とは異なり、消化器官や生殖器官は腕には入っていない。 口の周囲には5つのあごがある。あごに続いて短い食道があり、巨大な袋状で、出口のない胃がそれに続く。胃はとても大きく、盤の背面側のほとんどを占めている。すべてのクモヒトデ類は、腸と肛門を欠いている。消化作用は胃に折り込まれた10個の嚢(のう)状部分で行われる。ガス交換(呼吸)と老廃物の排出には、繊毛で裏打ちされた bursae(生殖嚢)と呼ばれる別の液嚢を用いる。生殖嚢は盤の通常海底側の腹側部表面、腕と腕の基部の間(管足帯の間)に開口する。典型的なものでは10個の生殖嚢が存在し、それぞれの生殖嚢は、胃の消化用嚢と交互に並んでいる。 ほとんどの種は雌雄異体である。盤内の生殖腺は、生殖嚢に開口している。配偶子は生殖嚢を通って自然に放出される。生殖嚢の内部で幼生を育てる種類も多い。クモヒトデ類の体腔は、他の棘皮動物に比べ、ひどく縮小している。神経系は盤の部分の周囲に配置する主要神経環から構成されている。各腕の基部で、神経環は腕の先端に達する放射神経系に繋がっている。クモヒトデ類は構造としての目を備えてはいないが、表皮に存在する受容体によって多少とも光を感知することができる。 以下では、腕について詳述する。BIODIDACによると、クモヒトデ目とユウレイモヅル目のどちらも、5つの長細い柔軟性のあるムチのような腕を備えており、腕は最長60cmに達する。炭酸カルシウムの板でできた、ちょうど脊椎骨のように、互いに連結しあった構造の腕骨 (vertebrae) が、内部から腕を支えている。腕骨は球状の突起を手のひらがくるむ形の関節を備えており、筋肉によって制御されている。盤と腕には、方解石の骨板ときゃしゃな棘が備わっている。テヅルモヅル類は巨大であるが、構造は同様である。ただし、腕は何段階も分岐している。クモヒトデ類の管足は、一般に感覚器官として機能している。ヒトデ類のような形で捕食のために用いることはない。 水管系(水循環系)は、管足に至っている。水管系には一般には1つの多孔板があるが、それを持たない種もある。(ヒトデと違い)管足には吸盤と管足瓶嚢が備わっていない。 クモヒトデ類は、すべての腕が同時に失われた場合を除き、急速に腕を再生できる。一部のトカゲが捕食者の目を欺いて逃れるために自ら尻尾を切り離す場合のように、クモヒトデ類も腕を切る(自切)ことがある。
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