発芽と成長
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 10:12 UTC 版)
他のマツ同様、発芽の時に子葉は地上に出てくる。好適条件下では大抵15日から60日かかって発芽する。しかし、中には100日以上かかるものもある。適度な水分がある森林の条件の場合、気温が18℃に達した時に発芽する。発芽には温度だけでなく光も関係していることが知られている。連続して光を照射した場合、16℃から27℃の範囲で正常な発芽が見られた。反対に光を遮断すると全ての温度において発芽率が著しく減少した。火災跡地や伐採跡地で適度に光を遮る切り株?(slash)や倒木は地表温度の上昇や乾燥を緩和して発芽に良い影響を与えていると考えられ、そのような場所では元気な苗が見られることも多い。 森林での条件において実生苗は最初の3年間は成長が遅いが、4年目と5年目には早くなり始める。1年生の苗木は樹高5 cm程度だが、2年目には15 cm、4年目には30-90 cmになる。人工林において2-0年の実生苗の早期生長はもっと早くmedium sitesにおいては年間30-45 cmも生長する。 本種は特定の成長条件下ではほとんどの他のマツよりも早くに花をつけることが出来る。苗床で最適な条件に近い成長条件で生育させたところ、ごくわずかな割合ではあるが播種後僅か12ヶ月で雌花を形成することが出来た。一方で雄花は同じ条件で実験しても4年生になるまで誘導できなかった。個体間の距離を2.4 mに設定した若い人工林をでは最初の8年間で1 haあたり286万粒もの充実種子(虫食いやシブダネ、シイナではなく健全であり発芽できる可能性のある種子)を貯めることが出来る。天然状態では更地から更新したような開けている場所の場合で5年生から10年生ぐらいで花をつけ始める。林冠が閉塞しているような場所だともっと遅い。 本種は天然の条件下では挿し木や接ぎ木等の無性繁殖を行うことはないが、これらの方法でも増やすことはできる。さし木では若い個体から挿し穂を作るとよく発根するが、挿し穂(ortet)の樹齢が上がるとともに発根率は急速に低下するという報告がある。4年生の実生苗から作った挿し穂は75%が発根した。しかし6年生のものでは7%、10年生になると5%しか発根しなかった。
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