異常時の運用方法の未整備・教育訓練の不足
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 05:28 UTC 版)
「信楽高原鐵道列車衝突事故」の記事における「異常時の運用方法の未整備・教育訓練の不足」の解説
特殊自動閉塞に改修前の信楽線は全区間が一閉塞の票券閉塞式であり、自動閉塞を前提とした代用閉塞の必要性は極めて低かった。このことから信楽高原鐵道の従業員は異常時における代用閉塞の訓練を受ける必要性の認識が薄く、閉塞区間が増えた設備改修後に必要なはずの代用閉塞の実地訓練を行わなかった。行き違い設備を追加する改修工事に着手したのが1990年5月、竣工検査が世界陶芸祭の開催直前である1991年3月であり、ハード面だけでなく運用細則などソフト面においても文字通り突貫工事であった。しかも信楽高原鐵道の要員不足からJR西日本の乗務員に対する乗り入れ教育訓練においては、信楽高原鐵道で講習を受けたJR西日本の電車区・車掌区のそれぞれ区長・助役が、乗り入れる乗務員の教育訓練を代行するものであった。それ故にJR西日本の現業員には信楽高原鐵道の運転取扱心得の教育をはじめ、信楽高原鐵道特有の線路・信号設備、運転取扱、指揮命令系統など十分に周知徹底されず、特に異常時における運転整理の手順については詳細を学ぶ機会はなかった。異常時の訓練は最後まで行われないまま放置され、JR西日本の運転士・車掌にとって異常時におけるマニュアルは事実上、ない状態であった。そして異常時の対応は都度、信楽高原鐵道に聞くようにという泥縄的なものだった。前述のように運用開始後に信号トラブルに直面した後も、正規の指導通信式による代用閉塞の取り扱いを行わないまま運転させていた。いずれの機会においても改めて代用閉塞の訓練を実施することはなく、むしろ形式だけの代用閉塞どころか、ダイヤのみに頼る閉塞無視の運転が信号故障時の運転の実際であった。
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