甲羅の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 04:57 UTC 版)
タイマイの甲板は加工され、世界各地で工芸品の原料とされた(鼈甲)。鼈甲は櫛や眼鏡のフレームなどに用いられ、日本では奈良時代から加工技術が存在する。日本には1975年のワシントン条約発効後も鼈甲細工産業の保護という理由から、アメリカ合衆国による経済措置により1993年に鼈甲の輸入が禁止されるまで年あたり30トンの鼈甲が輸入されていた。ワシントン条約の附属書Iに掲載され、タイマイを含む全てのウミガメ(鼈甲製品、剥製)の国際商業取引は原則禁止されている。ただし、条約締結前あるいは付属書I掲載前に取得したものは適用除外され、また、飼育繁殖したものは附属書II掲載種と扱われるなど例外的に取引が許される場合がある[要検証 – ノート]。現在は人工的に作られた鼈甲で代替されている。 古代中国の殷時代後期(3,300-3,000年前)には銅製などの刃物で亀甲や獣骨などを刻んだ亀甲獣骨文字が使用され、これは世界最古の漢字とされる。殷王朝においては祭事や戦争、農耕や天気予報などに至るまで、穴をあけた亀甲や獣骨に火をあてることで生じた割れ目によって吉兆が占われる亀卜が行われた。「卜」「兆」などの文字はこの際に生じた割れ目の形状に由来すると考えられている。亀甲獣骨文字を刻んだ甲羅が今日まで残されている。日本ではこの亀甲による占いを「太占」と呼ぶ。
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