甲羅の模様の人為選択説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/06/14 09:07 UTC 版)
「ヘイケガニ」の記事における「甲羅の模様の人為選択説」の解説
ヘイケガニの甲羅の溝が怒った人間の顔に見えることは、明治時代から幾人かの科学者の興味を呼び起こしてきた。 1952年に進化生物学者ジュリアン・ハクスレー (Julian Huxley) はライフ誌でヘイケガニを取り上げ、この模様が偶然にしては人の顔に似すぎているため、人為選択による選択圧が作用したのではないかと述べている。 この人為選択説では甲羅の模様の成因を、それが顔に似ている程、人々が食べることを敬遠し、カニが生き残るチャンスが増えたため、ますます人の顔に似て来たのだと説明する。 1980年に天文学者カール・セーガンも、テレビ・シリーズ『コスモス』と同名の著書の中でこのヘイケガニの人為選択説について取り上げている。 彼は、平氏の亡霊が乗り移ったという伝説が、人間の怒った顔に似た模様が出ている甲羅を持つカニを漁獲するしないの選択に作用しているならば、その伝説が色濃い瀬戸内海、特に壇ノ浦に近いところほど、漁師がこのカニを捕まえるのを嫌がったかもしれず、そうすれば壇ノ浦からの距離が近いほどより人間の顔に近い模様になっているのではないかという仮説を提唱した。 この説については甲殻類学者酒井恒が著書『蟹 — その生態の神秘』の中で触れており、ヘイケガニやその近縁種は日本以外の北西太平洋にも分布し人の顔に見える特徴は変わらないこと、化石の段階で既に人間の顔をした模様が認められること、ヘイケガニは食用にならないため捕獲の対象とされないことなどの理由で否定している。
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