甲虫の角の形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 14:40 UTC 版)
甲虫類の雄で発達する角は他の昆虫では角原基に相同な器官が存在せず、何もないところからいきなり新しい構造が得られるように見えるが、これも流用による。角のパターン形成において、角の構造の根元から先端にかけて1セットの遺伝子が位置特異的に発現する。その中で中心的機能を持つのは遠位に発現する節足動物で普遍的に付属肢のパターン形成に関与する Distalless (Dll) 遺伝子であり、角のパターン形成は付属肢のパターン形成に用いられる遺伝子セットの流用である。付属肢では、最も近位で hth (homothorax), n-exd (extradenticle) が、最も遠位および hth, n-exd の働く部分のうち遠位部分で Dll が、その間で両者とやや重複して dac (dachshund) が発現してパターンが形成されるが、昆虫の角では近位から遠位まで通して dac が、最も近位のみで hth, n-exd が、中位から最遠位にかけて al が、そして最も遠位で Dll が発現することで角のパターンが形成されている。
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