生活物資輸送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 20:26 UTC 版)
一方政府は、貨物輸送がストップすることで首都圏の生活物資が不足し、社会混乱が発生する事態を想定。防衛庁などとも対応を協議した。この日、関係閣僚からなる「生活物資等確保緊急連絡本部」が政府内に設置された。政府は事前にストに備えて全日本トラック協会に協力を要請し、振替輸送を準備していた。これに対応するため全国の故障したトラックが整備され、東京周辺に集結した。 農林水産省では年末の輸送対策も兼ねて食料品緊急輸送対策連絡会議を設け、北海道をはじめとする11道県に生鮮食料品対策協議会を通じ大消費地に対する繰上げ輸送を行わせたり、貨車輸送からトラック輸送への振り替えを図るなどの指導が行われた。大口の需要が見込まれるレストランやデパートではスト中の客足減少を見込み、仕入れを減らす店が相次いだ。 道路運送法34条による緊急輸送命令に対応可能なトラックは11月21日には延べ2,300台、日量2万トンの輸送体制を固めていた。しかし、緊急命令以外の官民挙げての生活物資輸送対策が功を奏し、28日には運輸省が「緊急命令を出す段階ではない」と官邸に報告した。しかし長期化の様相を見せる中、農林省サイドからは生鮮食料品の不足が懸念され、結局、緊急輸送命令の発動は29日となった。輸送品目はジャガイモ、タマネギ、リンゴ、ミカン等。最終的に動員した一日の輸送力は5,700 t、トラック約1,000台で、国鉄が当時一日に輸送していた生鮮食料品の量と釣り合う形にされた。トラック代行による運賃の差額は一日6,000万円だった。
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