生きて虜囚の辱めを受けず
生きて虜囚の辱を受けず
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 10:29 UTC 版)
「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず、死して罪禍(ざいか)の汚名を残すこと勿(なか)れ」の一節が、戦後に製作された太平洋戦争を題材とした小説や映画・ドラマなどで日本軍の人命軽視の行動(バンザイ突撃)を否定する際に引用されることも多い。ただしこの一文は「本訓 其の二」の「第八 名を惜しむ」の一部を引用したものであり、全文では無い。「生死を超越し一意任務の完遂に邁進すべし」で知られる「第七 生死観」につづくもので、全文は以下の通りである。 恥を知る者は強し。常に郷党(きょうとう)家門の面目を思ひ、愈々(いよいよ)奮励(ふんれい)してその期待に答ふべし、生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず、死して罪過の汚名を残すこと勿(なか)れ — 『戦陣訓』「本訓 其の二」、「第八 名を惜しむ」 戦陣訓は「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず」という一節以外にも訓が記載されており、「生きて虜囚の辱を受けず」一節のみが主旨であったわけではない。たとえば「本訓 其の三 第一」「戦陣の戒」には次のように記されている 。 六 敵産、敵資の保護に留意するを要す。徴発、押収、物資の燼滅等は規定に従ひ、必ず指揮官の命に依るべし。 七 皇軍の本義に鑑み、仁恕の心能く無辜の住民を愛護すべし。 八 戦陣苟も酒色に心奪はれ、又は慾情に駆られて本心を失ひ、皇軍の威信を損じ、奉公の身を過るが如きことあるべからず。深く戒慎し、断じて武人の清節を汚さざらんことを期すべし。 九 怒を抑へ不満を制すべし。「怒は敵と思へ」と古人も教へたり。一瞬の激情悔を後日に残すこと多し。
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