猪方小川塚古墳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 07:46 UTC 版)
猪方小川塚古墳(いのがたおがわづかこふん)は猪方支群に属す円墳で、規模は直径23m、高さ3mと他の古墳と比べ若干小さいものの、長さ5.2mの凝灰岩の切石積横穴式石室を持つことが特徴的である。石室は発見当時、天井と壁面が一部破損していたものの、かなり良質な状態で残っていた。石室は羨道、前室、玄室で構成されている。 埋葬された人物としては、古墳が周辺の古墳から少し離れた位置に、さらに多摩川を見下ろすことのできる位置に築造されていること、また切石積みの石室が多摩川流域周辺にある古墳でも珍しいことから、畿内王権の序列に位置付けられた狛江郷の長と推定されている。 狛江古墳群最後の古墳であり、これ以降に築造されたと考えられるこの古墳群に属す古墳は2022年現在確認されていない。一度発見されたあと所在不明となり、もう存在しないと考えられていたが、2012年、住宅開発の際に偶然発見されたという発見の経緯をもつ。墳丘はすでに失われていた。市は即座に2012年度予算に土地買収と古墳の調査に係る予算を計上し、詳細な調査が実施され、土地買収の9年後に古墳公園として開園するに至った(後述)。発掘の後、同年10月14日と21日に見学会が開かれたが、初回の14日には市内外から400人が参加したといい、その古墳に対する関心の高さが窺える。 出土品は土師器、須恵器、刀子、鉄鏃、灰釉陶器や金銅製の耳環などであった。 土地買収から古墳公園開園までの9年間、石室などはブルーシートなどで保護され、工事用ガードフェンスで敷地に入れないようになっていたが、2021年に猪方小川塚古墳公園として整備され、石室を見学できるようになった。4月から9月までは9:00から17:00まで、10月から3月までは9:00から16:30までの間は開園していて公園内に入ることができるが、それ以外の時間帯は門が閉ざされていて入ることはできない。12月28日から1月4日までの年末年始の期間中も入ることができない。 公園として整備後の2021年3月19日、都内の横穴式石室の中でも保存状態が極めて良好なことなどが評価され、東京都指定史跡に指定された。出土品も併せて指定された。
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