犯罪被害者等支援・裁判員支援
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 14:46 UTC 版)
「臨床心理士」の記事における「犯罪被害者等支援・裁判員支援」の解説
2004年施行の「犯罪被害者等基本法」に基づき、2005年に内閣府により策定された「犯罪被害者等基本計画」において、警察庁や文部科学省などの講じる施策に、臨床心理士ならびに臨床心理士会が、犯罪被害者などの支援に活用される社会資源として明記された。この基本計画により、全国各地の警察からの紹介に応じて、精神科医や臨床心理士が心理カウンセリングなどの心のケアを行うほか、知事部局、地方検察庁、弁護士会、医師会、都道府県臨床心理士会などが連携し、各専門分野からの総合的な支援体制を実現することが図られた。一方、警察の相談体制をより充実させるため、被害者支援担当部署に配置された警察職員への職員研修を臨床心理士が担う旨も施策とされたことなど、今後より一層犯罪被害者等支援活動へ資する専門職として位置づけられたことから、文部科学省は、犯罪被害者等支援に関する専門的知識・技能を特に有する臨床心理士の養成や、現臨床心理士への専門研修の実施を促進することを発表した。 一方、裁判員制度が施行されて以降、裁判員の心のケアも問題となっている。殺人罪をはじめとした重大犯罪の刑事訴訟への参加を義務づけられる裁判員は、公判に提出される証拠について、たとえ生々しい遺体や凄惨な犯行現場の写真であっても審理のためすべての確認を求められるばかりか、被告人および被害者・遺族の人生を左右する重みを持つ有罪・無罪の如何、ならびに量刑についての評議も課せられる。このように、裁判員に義務づけられる職務は、一般の人々にとっては非常に重い精神的負担となることから、最高裁判所は2009年6月より「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」を開設し、臨床心理士が参画している。同サポート窓口は、24時間体制での無料電話相談を行えるほか、臨床心理士による心理カウンセリングを5回まで無料で行うことができ、裁判員・元裁判員を対象に精神的負担のアフターケアを提供するものである。なお、裁判員や元裁判員が、同サポート窓口、および医療機関・相談機関において医師や臨床心理士などの専門家に相談を行う際に限っては、裁判員が法的に負う守秘義務は一時的に解除されるとの法務省見解が2010年5月に発表された。
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