熱力学的取り扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/01 08:35 UTC 版)
1884年、ヤコブス・ファント・ホッフは、可逆反応についての平衡定数の温度依存性を記述するファントホッフの式を提唱した。 A ↽ − − ⇀ B {\displaystyle {\ce {{A}<=> {B}}}} d ln K d T = Δ U R T 2 {\displaystyle {\frac {d\ln K}{dT}}={\frac {\Delta U}{RT^{2}}}} 上式において、ΔUは内部エネルギーの変化、kは反応の平衡定数、Rは気体定数、Tは熱力学的温度である。実験結果に基づいて、1889年にスヴァンテ・アレニウスは反応の速度定数について同様の式を提唱した。 d ln k d T = Δ E R T 2 {\displaystyle {\frac {d\ln k}{dT}}={\frac {\Delta E}{RT^{2}}}} この式を積分するとアレニウスの式 k = A e − E a / R T {\displaystyle k=Ae^{-E_{a}/RT}} が導かれる(kは速度定数)。Aは頻度因子(現在は前指数因子と呼ばれる)と呼ばれ、Eaは活性化エネルギーと見なされる。20世紀初頭までに、多くの科学者はアレニウスの式を受け入れていたが、AおよびEaの物理学的解釈はいまだ漠然としていた。そのため、化学反応速度論の多くの研究者が、AとEaを化学反応に必要な分子運動と直接的に結び付ける試みのなかで、どのように化学反応が起こるかについての様々な理論を提唱した[要出典]。 1910年、フランスの化学者ルネ・マルセラン(英語版)が標準活性化ギブズエネルギーの概念を導入した。これは k ∝ exp ( − Δ ‡ G ⊖ R T ) {\displaystyle k\propto \exp \left({\frac {-\Delta ^{\ddagger }G^{\ominus }}{RT}}\right)} と書くことができる。 マルスランが彼の理論の構築について研究していたのと同じ頃、オランダの化学者Philip Abraham Kohnstamm、Frans Eppo Cornelis Scheffer、Wiedold Frans Brandsmaが標準活性化エントロピーと標準活性化エンタルピーを導入した。彼らは以下の反応速度式を提唱した。 k ∝ exp ( Δ ‡ S ⊖ R ) exp ( − Δ ‡ H ⊖ R T ) {\displaystyle k\propto \exp \left({\frac {\Delta ^{\ddagger }S^{\ominus }}{R}}\right)\exp \left({\frac {-\Delta ^{\ddagger }H^{\ominus }}{RT}}\right)} しかしながら、この定数の本質は不明なままであった。
※この「熱力学的取り扱い」の解説は、「遷移状態理論」の解説の一部です。
「熱力学的取り扱い」を含む「遷移状態理論」の記事については、「遷移状態理論」の概要を参照ください。
- 熱力学的取り扱いのページへのリンク