火成鉱床の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/15 08:54 UTC 版)
ニッケルやクロムの大きな鉱床は、マフィック性のマグマの塊が地下でゆっくり冷却されたものが多い。最も大規模なクロム鉱床である南アフリカの「ブッシュフェルト鉱山」は、約19億年前に当時の陸地の地殻の中に東西520km南北270km最大厚さ7600mという巨大なマフィックマグマが貫入した結果できたもの。巨大なマグマの塊がゆっくり冷えながら固化してゆく際に、融点が高く(即ち他より早く固化する)比重の重い鉄やクロムを含む成分が下に沈み、残った軽い成分が上部に分化して行った様子がわかる。岩相を下から順に説明する。 急冷層 若干のクロム鉄鉱の層 鉄やマグネシウムを多く含み融点が高く比重の重いかんらん岩類の厚い層(約1500m) クロム鉄鉱を主とする鉱床 斑れい岩の厚い(約1000m)層 磁鉄鉱の濃集部 斑れい岩層 鉄やマグネシウム類が少ない閃緑岩層(約1900m) また特殊な例として、カナダのサドベリー鉱山がある。この鉱山にはマフィック性マグマに起因するニッケルの大鉱床があるが、その成因として 直径約4kmの隕石が落下した衝撃が引き金となって地下深所からマグマが移動してきたと推定されている。 ペグマタイトは深成岩のなかでも特に結晶のサイズが大きいもので、花崗岩ペグマタイトからは純度の高い石英(水晶)や長石などが採れ、光学レンズの材料に使用されている。またペグマタイトにはマグマの冷却固化の際に最後に残った水などの揮発成分を含む微量成分が濃集される事があり、「フッ素」「ベリリウム」「タングステン」「スズ」「モリブデン」「リチウム」「ニオブ」「タンタル」「希土類」などの鉱床として利用されている。 カーボナタイト鉱床は、方解石やドロマイトという炭酸塩類を主成分とする特殊なマグマに由来する鉱床で、希土類、ニオブ、銅などの鉱床となっている。カーボナタイトのマグマに由来する火山は現在非常に珍しく、活火山としては東アフリカのオルドイニョ・レンガイ山が唯一である。
※この「火成鉱床の例」の解説は、「鉱床学」の解説の一部です。
「火成鉱床の例」を含む「鉱床学」の記事については、「鉱床学」の概要を参照ください。
- 火成鉱床の例のページへのリンク