演奏上の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 02:12 UTC 版)
「交響曲第8番 (シューベルト)」の記事における「演奏上の問題」の解説
第1楽章においては、序奏がコーダで再現されるところで、両者のテンポ設定をどうするかが問題となる。かつてピリオド楽器による演奏がバロック音楽や古典派音楽に留まり、ピリオド楽器による初期ロマン派音楽の演奏が一般的でなかった時代においては、自筆譜の拍子及びメトロノームに忠実に基づいてテンポ設定をするとコーダが速すぎて楽章全体のクライマックスを築けない、という感覚が一般的であったため、多くの録音ではテンポを徐々に落としたりAndanteに戻していた。 しかし、ピリオド楽器による演奏や、ピリオド系の演奏でキャリアを築いてきた指揮者がモダン楽器のオーケストラを指揮した演奏では、当時の演奏習慣の研究から楽譜に指示のないテンポダウンは後の時代の習慣だとしてコーダをそのままの速さで演奏する例が多く、徐々にそのような演奏が増えつつある。コーダをそのままの速さで入ることを最初に提唱したのは、ルネ・レイボヴィッツである。彼は、ベートーヴェンの交響曲を作曲者のメトロノーム通りに演奏することを主張したことでも著名な存在である。 そして上述のとおり、終楽章の同じ和音の連続をどう処理するかが問題となる。ピリオド楽器で手がけても、終楽章で弦楽器に要求されるBPMは一秒間に12パルスを超えており、モダン楽器を備えた現代人にとっても簡単ではない。 シューベルトの多くの作品で見られることだが、自筆譜に書かれた記号の(>)が、アクセントにしては異様に長く、デクレッシェンドにしては短く、どちらなのか判然としない書き方も見られる。「どちらでもない」演奏が一般的だが、時に極端な解釈も見られる。特に最後の小節に関しては、それまでの楽曲の流れを重視して強奏で終わることが通例となっているが、クレンペラーやアーノンクールのようにデクレッシェンドとして演奏する例もある。
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