滓引き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 15:45 UTC 版)
滓引き(おりびき)とは、上槽を終えた酒の濁りを取り除くために、待つことを指す。槽口(ふなくち)から搾り出されたばかりの酒は、まだ炭酸ガスを含むものも多く、酵母、デンプンの粒子、タンパク質、多糖類などが漂い、濁った黄金色をしている。この濁りの成分を滓(おり)といい、これらを沈澱させるため、酒はしばらくタンクの中で放置される。滓引きによる効果は、単に濁りをとることに留まらず、余分な蛋白質を除去することで、瓶詰後の温度変化や経時変化によって引き起こされる蛋白変性での濁りの予防や、後工程となる濾過の負担軽減へも影響を及ぼす。 滓引きを施した上澄みの部分を「生酒」(なましゅ)という。「生酒」(なまざけ)とは別の概念なので注意を要する。 完成酒を生酒(なまざけ)や無濾過酒(むろかしゅ)に仕立てる場合などは異なるが、大多数の一般的な酒の場合、上槽から出荷までには二度ほど滓下げを施すことが多い。第一回目の滓引きを行ったあとの生酒(なましゅ)にも、まだ酵母やデンプン粒子などの滓が残っているのが普通で、雑味もかなりあり、これらを漉し取るために濾過の工程が必要となってくる。 近年では、消費者の「生」志向に乗じて、滓引き以降の工程を施さず「無濾過生原酒」として出荷する酒蔵も現れてきている。 なお、滓引きと混同されやすいものに「滓下げ」という用語があるが、滓引きとはまた別の概念なので注意を要する。
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