湯治によるがん患者の感情プロフィール改善
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 09:27 UTC 版)
「玉川温泉 (秋田県)」の記事における「湯治によるがん患者の感情プロフィール改善」の解説
社会保険いわて健康管理センターの柳澤融らは、2005年8月から12月に、湯治で玉川温泉(新玉川温泉を含む)を訪れたがん患者のうち、調査に同意した57名について、感情プロフィール検査 (POMS)を実施し、結果を性別、年令、宿泊数、宿泊施設、疾患に分類して詳細に解析した結果、全患者について湯治後に「活気」(V) の有意な上昇と「混乱」(C) の有意な低下が認められ、さらに女性群については、「緊張-不安」(T-A) と「抑うつ-落ち込み」(D) の有意な減少が認められた。宿泊数については、7泊以下では「活気」(V) の上昇と「抑うつ-落ち込み」(D) の減少が有意であり、8 - 10泊では、それに加えて「緊張-不安」(T-A) の減少も有意であった。11泊以上では、「活気」(V) の上昇とともに、「抑うつ-落ち込み」(D)、「怒り-敵意」(A-H)、「混乱」(C) も上昇した。 POMS (Profile of Mood States) は、マサチュセッツニュートンセンターの D.M.McNair らによって開発されたもので、被験者の気分の状態を数値化して客観的に評価する方法である。精神科領域、職場や学校のメンタルヘルス管理、スポーツ選手のトレーニングなどに、広く応用され、高い信頼性がある。 実際の方法は、65項目(うち7項目はダミー)の質問からなるアンケート形式のシートで、各質問に過去1週間その項目が表す気分になることを「まったくなかった」から「非常にに多くあった」の5段階で該当蘭に記入する。その結果から所定の手順により、以下の 6つの評価用尺度を得る。 「緊張-不安」(T-A) : (Tension Anxiety) 「抑うつ-落ち込み」(D) : (Depression-Dejection) 「怒り-敵意」(A-H) : (Anger-Hostility) 「活気」(V) : (Vigor) 「疲労」(F) : (Fatigue) 「混乱」(C) : (Confuse) 柳澤は、玉川温泉の湯治が、がん患者にとって好ましい作用をもたらすのは、温泉浴による爽快感 、同病患者 との語り合いによる開放感 、温泉地の好環境のためと考えられるとしている(ホルミシス効果については確立されたものではないとして、可能性を示唆しつつもその関与を肯定も否定もしていない)。 その後 POMS は改良され 2017年5月からは改良版の POMS2 が用いられるようになった。改良点は、評価尺度として「友好」が加わって 7尺度となり、ネガティブな気分状態を総合的に表す「TMD得点」が加わった。さらに対象年齢により成人用(18歳以上)と青少年用(13歳から17歳)に分け、それぞれに質問数を少なくした短縮版が設けられた。
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