測候所閉鎖とその後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 14:50 UTC 版)
気象衛星の発達や、長野レーダー・静岡レーダーの設置などにより、富士山でのレーダー観測は必要性を失った為、1999年に、レーダー観測が廃止された。さらに観測装置が発達したことにより、現地での人手による観測の必要性は失われ、2004年に自動観測装置が設置され無人施設となり、気象観測(気温、気圧、日照時間(夏季のみ))を継続して行っている。ただし、それまで行われていた風向・風速の観測については、観測装置のメンテナンスが困難なため廃止され、NHKラジオ第2放送の気象通報で放送されていた富士山頂の風向・風速は放送されなくなった。 廃止された気象レーダードームは、山梨県富士吉田市と静岡県御殿場市との誘致合戦の結果、いち早く名乗りを上げた富士吉田市の富士山レーダードーム館(道の駅富士吉田に隣接)に展示されることとなった。測候所の施設自体は、研究者の組織である「富士山高所科学研究会」が中心となって設立したNPO法人「富士山測候所を活用する会」が、夏季期間に借用し、2007年から様々な研究活動を行っている。年間予算は約4000万円で、電源や施設の補修費は会の負担。観測対象は大気中の二酸化炭素濃度、中国などからも偏西風に乗って飛来する水銀等の大気汚染物質、東京電力福島第一原子力発電所事故により飛散した放射性物質と幅広い。雷の発生や落雷を間近で観測できる利点もあるほか、高所医学の研究、大気中の水蒸気から飲用水を作る技術の実験などにも使われている。
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