浜通り海岸地域の地形と地質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:15 UTC 版)
「浜通り」の記事における「浜通り海岸地域の地形と地質」の解説
浜通り地方の西側を占める阿武隈高地の地形説明はその項目に記す。東側、山地と海岸に挟まれた南北に細長い地域に地形の名はついていない。本節ではここを浜通り海岸地域、あるいは単に海岸地域と呼んで説明する。北北西 - 南南東 の方向に直線的に伸びる双葉断層を西の境界とし、北では宮城県亘理町から、南では福島県いわき市の北東部(久之浜の付近)までがここでいう海岸地域である。阿武隈山地も海岸線も南北方向に伸びているので、斜めに走る双葉断層で切り取られる海岸地域の幅は北で広く、南にいくほど狭い。南北に細長い三角形である。地域内を詳しく見ると、高度200メートル以下の低い丘陵と、何段にも分かれる河岸段丘、川沿いに広がる沖積低地という小地形が多数、それぞれ東西方向に伸びている。 浜通り海岸地域の基盤となるのは、比較的新しい新第三紀の堆積岩で、古生代~中生代の古い地層を基盤とする阿武隈高地とは対照的である。河岸段丘が占める面積の割合は南の方が多く、段丘面の数も南の方が多い。これは地形の隆起速度が南で速く、北では遅いためである。海岸地域は西に接続する阿武隈高地の隆起に引きずられて、ゆっくり隆起している。その速度は北部で1年に0.2ミリメートル、南部で0.5ミリメートルと推定されている。 海岸線は砂浜、崖、あるいは崖の前に砂浜が広がる地形となっている。隆起に伴い海岸段丘も作られており、海岸侵食が強く、南相馬市や富岡町では年平均0.4メートルほど海岸線が後退している。削られた陸地により、海側には幅約2.5キロメートルの海食台ができており、これが約7000年前に海面水準が現在のものになった時の海岸線に対応していると考えられる。7000年前の海岸は2.5キロメートル先だったということである。
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