洞穴と生物の生活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 17:02 UTC 版)
洞穴生物の洞穴とのかかわりにおいて、以下のカテゴリーが区別される。 迷洞穴性(めいどうけつせい) 洞穴を生活の場としないもの。偶発的に迷い込んだと考えられるもの。 好洞穴性(こうどうけつせい) 洞穴を生活の場とするが、洞穴の外でも生活するのが見られるもの。カマドウマのように薄暗いところを好み、洞穴外でも物陰に生息するものや、トビムシやマシラグモのような洞穴外では土壌動物であるものなどがある。このような生物には洞穴への依存に様々な程度の差があり、ほとんどが洞穴にいるものから、たまに洞穴で見られるものまである。 真洞穴性(しんどうけつせい) 普通は洞穴内のみでみられる生物。多くの場合、地域ごとに固有種となっている場合が多い。洞穴外では生活できないのであれば、洞穴ごとに隔離されているため、島嶼の生物と同じように、種分化は進みやすいはずであるが、例えば鍾乳洞の場合、同一の石灰岩域に属する多くの洞穴に同一の種が生息している場合が多く、「洞穴内のみ」で生活するという表現は当たらず、土壌空間や岩盤空隙にすむものとの関係が深い。以下のような独特の進化を遂げている。 普通は真洞穴性のものは好洞穴性のものから進化したと考えられ、およそ次のような特徴を持つ。体色の白化傾向。全体に白っぽくなる。光の欠如が原因と考えられる。 眼の退化。眼が小さくなったり、全く無くなったものも知られる。 体つきの虚弱化。皮膚が薄く、触覚器官としての付属肢が細長くなる。 栄養に乏しく、温度が低いことから、新陳代謝が低く、動きがゆっくりしたものが多い。その分成長は遅く、長生きである例もある。 特に有名なのはホライモリで、眼は退化し、体は真っ白で、細い手足を持ち、幼形成熟によって成体でも外鰓を持つ。同様な姿の両生類がアメリカからも知られており、平行進化の結果と考えられる。魚類では全身真っ白で眼を失った魚がアメリカ大陸、アフリカ、アジアなどあちこちの様々な分類群で知られている。 なお、これらの特徴は、栄養に乏しい洞穴の場合であって、コウモリのいる洞穴などは大いに異なる。体色は薄くなる傾向が見られる場合もあるが、むしろ活発な動物が多く見られる。 上記のものは洞窟内部を生活の場とするものである。これらとはかなり異なるのが以下のようなものである。 周期性洞穴生物 洞穴性のコウモリのように、主な生活の場は外にありながら、必ず洞窟を必要とする(繁殖や休養など)ものもあり、そのようなものは周期性洞穴生物と言われることもある。コウモリのほかに、アナツバメやアブラヨタカなども洞穴に巣作りをする。かつてはヒトの先祖も、一部はこのような生活をしていたと見られる。
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