洞穴の環境
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 17:02 UTC 版)
生物の環境としての洞穴は、以下のような特徴を持っている。 光がない 洞穴の入り口など、ごく一部を除いては光が入らない。逆に、光の入る範囲は、以下の特徴に関して洞穴内部的にならない。 湿度が高い 年間を通じて常に高い湿度を保つのが普通である。特に鍾乳洞の場合、定常的に内部へ水が流れ込むことがその形成の要因であるため、湿度が高く壁面も濡れており、底面には水流があることが多い。 温度が一定である 温帯地域では例えば15℃前後であり、夏は涼しく、冬は暖かい。熱帯地域では、さすがに涼しくはなくとも、外よりは温度が低い場合が多い。 食料に乏しい 植物が存在しないので、生産量はごく少ない。わずかに外部から流れ込む栄養分が頼りといった状況であると考えられ、動物の密度もごく低い。 ただし、例外はコウモリの集団が生息する場合である。洞穴性のコウモリのいくつかの種は、集団で生活して数百から数万、時にはそれ以上の個体が集まって特定の洞窟に入り、その天井で休息や繁殖を行う。夜間に洞穴の外へ出て餌を食べ、洞内に入って昼は休むので、コウモリの集団の下は地面がコウモリの糞だらけになる。洞内は悪臭に満ちるうえ、糞の発酵熱によって気温が高くなる。そして、この糞を栄養源とする生物群集が成立し、非常に動物の密度の高い場所となる。大抵はこの糞の山には、これを食うハエ類の幼虫やゴキブリなどが無数に繁殖し、場合によっては隙間もなく虫がうごめく、といった状態になる。また、そうして繁殖した虫を餌とするオオゲジやアシダカグモなどが壁一面に止まる。コウモリの死体も、これらの動物の餌になる。
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