法令の施行方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/11 07:02 UTC 版)
法令の施行方法について、いくつかに分類することができる(以下、各行末の例文には法律を用いる)。 施行日に関する事項が法令に明記されている場合。施行日が明確に規定されている場合。公布の日から施行する場合。(例:この法律は、公布の日から施行する。) 公布後一定の期間を経過した日から施行する場合。(例:この法律は、公布の日から起算して○○○を経過した日から施行する。) 年月日が記述されている場合。(例:この法律は、令和○○年○○月○○日から施行する。) 他の法令の施行日に施行する場合(例:この法律は、○○法の施行の日から施行する。) 施行日については他の法令に規定する場合。「この法律は、公布の日から起算して○○○を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」(政令で指定。施行日に範囲を設定することがほとんど) 「この法律は、別に法律で定める日から施行する。」(稀にある例。都市計画法(昭和43年6月15日法律100号)附則第1項など) 「この法律の施行期日は、別に法律で定める。」(特許法(昭和34年4月13日法律121号)附則など)) 施行日に関する事項が法令に明記されていない場合。 上記1.の場合はそれぞれその指定された日に施行され、2.の場合は#施行に関する法令の中の該当する法令の規定に基づき施行される。明治期の法令には2.の施行方法が使われた例があるが、それ以降はほぼ1.の施行方法であり、2.の方法はほとんど用いられていない。また、公式令が廃止された後の政令や省令の場合、施行日に関する法令がないため、1.の方法でなければならない。 公布日より施行する(すなわち即日施行の)場合、公布がなされた日の午前0時からではなく、公布と同時に(すなわち公布がなされた時点において)施行されるものと解されている(最大判決昭和33年10月15日刑集12巻14号3313頁)。 また、施行日に関しては次のような場合もある。 条項別に異なる施行期日を設定する場合がある。(例:この法律は、○○○から施行する。ただし、第○○○条の規定は、○○○から施行する。) 施行は公布を前提としているので、施行日を過去(つまり公布日よりも前の日)に設定することは本来認められない。ただし、国税通則法(昭和37年法律第66号)は、その附則1条で施行期日を昭和37年4月1日とされたものの、公布日である官報掲載日が昭和37年4月2日になったため、公布よりも前に施行という変則的な事態となった。なお、国民その他その法令の対象者にとって不利益にならない規定(金銭を過去にさかのぼって支給する等)に限り、公布日より前の事象にその法令を遡及適用することが認められているが、これは法の適用範囲の問題であり、施行日の問題ではない。不利益となる場合(公布前の犯罪に改正後の重罰を適用する、税金を過去にさかのぼって増税する等)の遡及適用は認められない。(例:この法律は、平成十八年十月一日から施行し、第○章の規定は、同年四月一日から適用する。)
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