油脂のオフフレーバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/25 16:09 UTC 版)
「オフフレーバー」の記事における「油脂のオフフレーバー」の解説
油脂の匂いを構成する成分には炭化水素や、有機酸素化合物のアルデヒドやケトン、アルコールなどがある。これらは不飽和脂肪酸を主とする脂肪酸が、自動酸化あるいは光増感酸化を受けて生成したヒドロペルオキシドがさらに分解されることにより生じる。アルデヒドやケトンは炭化水素やアルコールに比べ嗅覚閾値が低く、微量でも臭気に大きな影響を与える。ヘキサナールや2-ヘキセナールは「青草臭」、オクタナールは「果実臭」、ノナナールは「花の香り」を呈する。不飽和アルデヒドの二重結合の位置が2位にあるものより3位にあるもの、シス型とトランス型ではシス型の方が閾値が低い傾向がある。このほか、原料に含まれるアミノ酸に由来する有機硫黄化合物や有機窒素化合物も匂いに関わってくる。ごま油に含まれる含硫アミノ酸やピラジン類、バターに含まれる酪酸やカプロン酸をはじめとする低級脂肪酸などは、それぞれの油脂の特徴的な香りを形づくる成分として重要である。 大豆油には「戻り臭」と呼ばれる、「草臭」や「豆臭」が生じることが知られている。生成機構は不明であるが、リノール酸由来の2-ペンチルフランやリノレン酸由来のcis-3-ヘキセナール、オレイン酸由来の1-デシンによるものと考えられている。 新鮮な菜種油の臭気成分はリノレン酸由来の2,4-ヘプタジエナールが主であるが、酸化が進むとオレイン酸やリノール酸由来のヘキサナールやノナナール、2,4-デカジエナール、「金属臭」の原因の1-オクテン-3-オンが増加する。これらは閾値が低く、オフフレーバーの原因となる。 水素添加により作られる硬化油には、「水添臭」と呼ばれる甘い匂いがみられる。水添大豆油には2,4-デカジエナールの還元で生じた1-デカノール、水添大豆油や水添亜麻仁油からはリノレン酸の部分水添物から生じたと考えられる6-ノネナールがオフフレーバー成分として見出されている。 揚げ物に使用した油から生じる揮発成分は、基本的に酸化劣化で生じるものと同様であるが、高温下ではヒドロペルオキシドが分解しやすいため低分子の成分が比較的多く生じる。加水分解や熱分解の影響を受け、揮発性の不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸も生じる。
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