決定と受諾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 15:20 UTC 版)
それぞれの投票後には、票の集計・数の検査・投票用紙の焼却が行われる。ただし用紙焼却は午前午後それぞれ2回目の投票後に行われ、1回目の時点で決まらなければそのまま再度投票が行われる。投票用紙の焼却の際には特殊な薬品を混ぜて、新教皇がまだ決まらない場合には礼拝堂の煙突から黒い煙を出し、新教皇が決まった場合には白い煙を出して外部への合図とする。過去には未決の場合湿らせたわらを混入し燃やして黒い煙を出すようにしていたが、ヨハネ・パウロ1世を選出した1978年8月の教皇選挙で黒とも白ともつかない灰色の煙が出て情報が混乱したことがあった。そのため明確に色付けする目的で、黒煙の場合は過塩素酸カリウム・アントラセン・硫黄の化合物を、白煙の場合は塩素酸カリウムや乳糖、松脂の混合物を投票用紙に混ぜて燃やすようになり、さらにベネディクト16世を選出した2005年の教皇選挙からは、新教皇が決まった場合、白い煙が出た直後にサン・ピエトロ大聖堂の鐘を鳴らして正式な合図とすることになった。 投票によって、ある枢機卿が必要な票数を獲得すると、礼拝堂内に枢機卿団秘書と教皇庁儀典長が呼び入れられる。首席枢機卿は候補者に対し、教皇位を受諾するかどうか尋ねる。もし、候補者が受諾し、すでに司教であるなら、その時点で教皇位を受けることになる。もし司祭であるなら、首席枢機卿が司教叙階をおこなった上で、教皇位を受ける。信徒が選ばれた場合は、首席枢機卿が司祭叙階した上で司教叙階をおこなう。 535年以来、教皇に選出された者は、就任時に自身の教皇名を自ら決める慣習になっている。 新教皇はあらかじめ用意されていた3つのサイズの白衣の中から自分の体に合うものを選んで身にまとう。そこで枢機卿団が待機している礼拝堂に戻り、カメルレンゴから新しい「漁夫の指輪」を受け取り、祭壇近くにすえられた椅子について枢機卿団一人一人からの敬意の表明を受ける。 次に助祭枢機卿の最年長者がサン・ピエトロ大聖堂の広場を見下ろすバルコニーに出て、ラテン語で新教皇の決定を発表する。そして新教皇がバルコニーにあらわれて、「ウルビ・エト・オルビ」(Urbi et Orbi、「ローマと世界へ」の意)ではじまる在位最初の祝福を与える。かつて教皇は教皇冠を受けていたが、ヨハネ・パウロ1世によってこの戴冠式は廃止されている。
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