汚職と腐敗の類型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 14:28 UTC 版)
日本は2017年、国際組織犯罪防止条約の受諾により、締約国として、故意に行われた次の行為を犯罪とするため必要な立法その他の措置をとることを約束している(同第8条)。 公務員に対し、当該公務員が公務の遂行に当たって行動し又は行動を差し控えることを目的として、当該公務員自身、他の者又は団体のために不当な利益を直接又は間接に約束し、申し出又は供与すること。 公務員が、自己の公務の遂行に当たって行動し又は行動を差し控えることを目的として、当該公務員自身、他の者又は団体のために不当な利益を直接又は間接に要求し又は受領すること。 大内穂「腐敗の要因分析と対策における国際協力」では、腐敗を行政的腐敗(汚職型)、小規模政治的腐敗、構造的腐敗(疑獄)、国際的腐敗に分類している。 行政的腐敗(汚職型) 行政的腐敗(汚職型)は、主に中級から下級の官僚が、許認可権や裁量権を恣意的に行使または行使せずに特定の者を有利に扱い、その対価として賄賂の収受などを行う類型である。背景には需給関係の不均衡、社会不安、縁故主義、行政の過剰雇用と非効率性などがある。 小規模政治的腐敗 小規模政治的腐敗は、高級官僚、政治家、ビジネスマンなどが、特定の業界や企業に対する優遇を行い、その対価として資金、株、不動産などの資産が支払われたり、娯楽の機会や天下り先などが提供される類型である。背景には開発による利権の発生機会の増加、貧富や階級、党派、宗教、イデオロギーなどによる社会断層、公私を曖昧化したり党派の利益を優先する政治文化、利益集団の暗躍や政治エリートへの権限集中などがある。 構造的腐敗(疑獄) 構造的腐敗は、外形は通常の国家活動のような形式的合法性を満たしつつ、現実には大統領や首相あるいはその側近らが特定の業界や企業のために予算配分、税制改正、補助金交付などを行う類型である。背景には公共投資での利権の再生産のメカニズム、政治意識の希薄化、政治的無関心層の増大、国家機構の階級的支配または私物化などがある。 国際的腐敗 国際的腐敗は、多国籍企業の海外活動や外国援助での援助国から被援助国への援助に関わる類型である。背景には自由競争を阻害する市場メカニズムやグローバルガバナンスの欠如などがある。
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