汚物処理装置の完全整備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 08:53 UTC 版)
国鉄分割民営化以降も汚物処理のための地上設備を備えられない車両基地があり、地上設備を持たない基地に天災や事故により、循環式・真空式の便所を持つ車両が“とりこ”になってしまった結果、沿線市町村または市町村からし尿収集運搬の委託を受けた一般廃棄物収集運搬業者にバキュームカーによる汲み取りを依頼する場合がたびたび発生した。これは、現在もJR西日本など、地上に特別な設備を要しない浄化排水式と他の方式を混用している鉄道会社でまれに発生している。そのため、1980年代末に至っても主に地方線区で開放式便所の車両は多かった。中には「暫定工事」と称して、車両には装置およびタンク本体を取り付けておきながら、貯留タンクを貫通する形で便器と暫定流し管を直結して線路上にそのまま流していたというケースもあり、処理装置の本使用の際に暫定流し管を撤去してタンクの穴を塞ぎ板で閉鎖していたという車両もあり、485系や14系などに存在していた。 地方での下水道整備が進んだこと、下水道の利用できないエリアでも浄化槽の登場や地上設備を要さない車上処理システムが実用水準に達したことなどから、JR・私鉄とも1990年頃から貯留式への改造や車両取り替えが進められ、2002年頃までには日本の列車から開放式便所はほとんど姿を消した。この結果、日本は広い鉄道網を保つ国としては、開放式便所を廃絶した世界でほぼ最初の国となった。
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