永世中立と軍事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 14:03 UTC 版)
永世中立は非武装を意味せず、いわゆる「非武装」や「無防備都市」とは、全く概念・理念が異なるものである。スイスの様にスイス軍の強力な国防政策を採る国家もある(武装中立)。 スイスは憲法で軍隊保持と国民皆兵制を規定(58条、89条)しており、2013年に市民運動団体によるスイス軍軍隊廃止に関する国民投票が実施された際も73%の圧倒的多数で否決され、徴兵制の存続が決まった。 また、国連における平和維持活動への兵力派遣は、中立義務違反とは見なされない。オーストリアは1965年の憲法改正以降、コンゴ動乱や国際連合キプロス平和維持軍に軍を派遣しており、1968年には国連の要請に即時に対応するため、国連待機軍(ドイツ語版)を設置している。またスイスも2002年の国連加盟の前からPKOに参加しており、1993年には待機軍を組織している。これはPKOにおける派遣が非強制的な性格のものであり、公平性を義務づけられていたために、中立の義務と反しないという考えによるものである。また、他国間の紛争を抑止することは中立国自体の利益となるとも考えられてきたことによる。平和維持活動で、自衛の他の軍事力を執行することについては中立義務違反であるという解釈が一般的であったが、冷戦終結後には変化が生じている。平和維持活動による、平和強制のための軍事行動は、法の執行であり中立義務違反ではないという解釈である。この解釈は有力になり、スイスおよびオーストリアの政府も同じ見解を表明している。
※この「永世中立と軍事」の解説は、「中立国」の解説の一部です。
「永世中立と軍事」を含む「中立国」の記事については、「中立国」の概要を参照ください。
- 永世中立と軍事のページへのリンク