水素燃料の課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 09:03 UTC 版)
原料 現在大量生産される水素の原料は天然ガス及び石油である。現状では水素は化石燃料が形を変えたものである。水からの製造にはアルミニウム同様安価で大量の電力が必要である。 製造 水素はもっとも軽い元素であり地上には水素単体ではほとんど存在していない。このため、エネルギー資源としての水素は考えられず、人間が必要な量はすべて、水素化合物からエネルギーを使って取り出さなければならない。最も身近な水素化合物は水である。水を電気分解することで技術的には容易に水素が得られるが、電気分解に消費される電気エネルギーは得られた水素を反応させて再び得られる電気エネルギーより大きいために差し引きでは損となる。エタノールや石油精製品から水素を取り出す方法もあるが、その手間とコストを考えれば、そのままエタノールや石油精製品を燃料として使用するほうが経済的である。いまのところ水素は天然ガスと水より触媒を介する水蒸気改質で作り出されている。 保管 水素原子や水素分子はあまりにも小さいため、水素がその金属内部に浸透してゆき金属を劣化させる水素脆化を引き起こすので、ステンレスなどの金属容器に詰めたばあい容器が劣化するため長期保管が困難である。そこで、水素脆化が起きない材料、水素を吸蔵する水素吸蔵合金、高圧水素用のCFRPボンベ、冷却して液化水素として運搬・保管する方法などに関する研究開発が進んでいる。 可燃性 水素そのものは、もちろん酸素がなければ燃焼しないため純度の高い水素は発火しにくいが、酸素との混合気体は容易に発火する。そのため、可燃性という観点ではガソリンと同様に危険である。燃料を改質して生成した水素を利用する場合、その燃料に関しても十分な安全対策が必要とされる。 流通 製造・流通・消費の各ステージでまったく新たな設備が必要とされる。水素燃料対応の自動車への燃料供給のため、2020年8月時点では、日本全国で133箇所の水素ステーションが運用されている。これらの水素ステーションには、ガス燃料から水素ステーション内で水素を製造する方式と、製油所や化学工場等で製造された水素を輸送して水素ステーションで供給する方式の2種類がある。
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