毛皮利用の動物愛護上の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 23:16 UTC 版)
世界の毛皮の85%以上が野生由来ではなく、毛皮用の動物養殖農場から生産されており、その毛皮用動物養殖場における動物の扱いが問題視されている。2004年から2005年に Swiss AnimalProtection などNGO(非政府組織)の調査で、中華人民共和国河北省の毛皮生産現場の劣悪な動物飼育施設や、タヌキが意識のある状態で毛皮を剥されているなどの実態が明らかになって以降、中国だけではなくフィンランドやノルウェーなどでも毛皮用動物養殖農場の劣悪な飼育環境について告発が続いている。 動物には常同行動や幼児殺害、自傷行為などの異常行動がみられる。近親交配の結果、斜頸や難聴、免疫不全の個体が生まれた。1着のフォックスコートには約10匹、ミンクコートやラクーンコート、ラビットコートには約30匹の動物が使われる。毛皮は動物を苦しめ、環境にも猛烈な影響を与える。法学者で動物の権利を主張するフランシオンは、一般に不必要な動物への危害は避けるべきだとされているが、毛皮も不必要な危害の禁止に反し、やめるべきだと指摘する。動物の犠牲に対する批判や毛皮反対運動もなされている。 こうした批判を受けたファッションブランドやアパレル各社の毛皮離れに加えて、新型コロナウイルス感染症への防疫措置としてミンクの殺処分がデンマークで2020年11月に政府から命じられ、飼育業者の協同組合が数年後に廃業することを決める例も出てきている。
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