残骸円盤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 14:30 UTC 版)
レチクル座ζ星には、太陽系外惑星は見つかっていない。1996年9月20日、ζ2星の周りにホット・ジュピターを発見したとの速報があったが、その時とらえた信号は恒星の脈動によるものだとして、すぐに撤回された。 ISOによって、中間赤外線の25μmでζ1星を観測したところ、赤外超過は見られなかった。一方、スピッツァー宇宙望遠鏡によってζ2星の周りを観測したところ、70μmで赤外超過が見つかった。この放射は、残骸円盤(英語版)によるものと考えられ、円盤の塵の温度は平均して150K、ζ2星を半径4.3auの距離で取り巻いている。更に、ハーシェル宇宙望遠鏡による観測で、更に高い分解能で、より長波長まで観測すると、それまでの予測と異なり、残骸円盤は軌道長半径が100au、温度が30-40Kと推定され、カイパーベルトのようなものといえる楕円形の塵の環があることを示した。 ζ2星周りの残骸円盤は、二成分の構造を示し、各成分は恒星を中心とした位置も明るさも対称でない。この特徴は、円盤が楕円形、具体的には離心率が0.3以上で、真横に近い向きから見ているとすれば説明できる。もしくは、円盤の中に塊状構造があることも考えられ、いずれにせよ、何らかの原因で円盤は円形からずれている。ζ1星は距離が遠いので、円盤には影響していないとみられる。円盤の形状を数値計算したところ、楕円形の円盤が安定して存在するために、惑星のような天体が円盤の外側を、やはり楕円軌道で公転し、円盤を擾乱していると考えれば説明が付くことがわかった。
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