橋本實とは? わかりやすく解説

橋本實

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/10 07:21 UTC 版)

はしもと みのる

橋本 實
左から弟・、父・乾三、母・千代に抱かれる弟・、實(昭和16年撮影)
生誕 (1931-08-17) 1931年8月17日(93歳)
日本東京都渋谷区
国籍 日本
出身校 学習院大学
職業 実業家
肩書き 日本鋼管常務取締役
(現・JFEスチール
芙蓉海運社長
NKK物流社長
JFE物流特別顧問
  • 乾三(父)
  • 千代(母)
家族 橋本卯太郎(祖父)
橋本明(弟)
橋本宏(弟)
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橋本 實(はしもと みのる、1931年昭和6年)8月17日 - )は、日本実業家日本鋼管常務を務めた後、日本鋼管子会社の社長を務めた。日本鋼管が川崎製鉄と合併し、JFEスチールが誕生すると子会社のJFE物流特別顧問となる。東京都渋谷区出身。

大日本麦酒(現:サッポロビール)の常務を務めた橋本卯太郎の孫。ジャーナリスト橋本明、外交官の橋本宏は弟。首相を務めた橋本龍太郎高知県知事を務めた橋本大二郎は従弟にあたる。

経歴

生い立ち

1931年(昭和6年)後に最高検察庁検事になる東京在住の父・橋本乾三と母・千代の長男として出生する[1]。東京の学校に通うが、小学校在学中に日本の戦況が徐々に悪化するに伴い、学習院初等科の3年生以上が疎開を開始する[2]。当時6年生だった橋本によると、「戦争中は日光岡山等に疎開した。岡山では吉備郡秦村字秦下(現:総社市)の親類宅から秦村国民学校に通った。」という[3]

その後、疎開先の総社から近い旧制岡山県立高梁中学(現:岡山県立高梁高等学校)に進学する。在学中に日本が第二次世界大戦で敗戦すると、1945年(昭和20年)11月、橋本が旧制中学2年次のときに、再び東京へ戻り、学習院高等科(尋常科4年と高等科3年)へ編入する[1]。この後、日本の教育システムが旧制度から新制度へ移行するに伴い、7年制の高等科が1年短縮し、1950年(昭和25年)に同校を卒業し、学習院大学政経学部へ進学する。1954年(昭和29年)同校を卒業する[4]

日本鋼管の社員として

尊敬する先輩との出会い

大学卒業後、日本鋼管へ入社し、神奈川県にある鶴見製鉄所へ配属となる[4]。ここで、将来の橋本の運命を左右する出来事があり、当時、同製鉄所の副所長をしていた深掘佐市と出会う。深掘は技術屋出身で勤務態度は真面目であり、24時間休みなく動く製鉄所を朝の7時半には出社し現場を一回りしてから執務室で業務を行っていた。深掘は、若い頃にドイツハイデルベルク大学に留学の経験があった。彼は、若かき日に学んだドイツ語を忘れないように、家にドイツ語の教師を呼んでいた。そんな、深掘を橋本は尊敬していた[4]

ドイツへ赴任

1975年(昭和50年)橋本のドイツ赴任が決まると、ドイツでの過ごし方やアドバイスを深掘からもらっている。特に、ドイツ人学生はビアホールにあつまり学生歌を歌う習わしがある。ドイツに行ったら学生歌集があるから買うと良いと教えてもらう。しかし、デュッセルドルフの町の本屋では見つからず、アルトハイデルベルクで苦労して見つけることが出来た。その後、同じ日本鋼管のドイツ駐在員が家族へのお土産として、橋本の学生歌集を持って日本へ帰ってしまった。またすぐに購入できると思っていた橋本だが、まったく見つからず、最後に赴任したウィーンでようやく学生歌集を発見する。この歌集は橋本の生涯の宝物になった[4]

その後、1979年(昭和54年)に帰国し、 48歳で鋼管輸出部長となる。1981年(昭和56年)資材部長となり[5]1983年(昭和58年)52歳で日本鋼管アメリカ社長となり、ニューヨークへ赴任する[6]。橋本はアメリカ支社長のときに、雑誌のインタビューで、「保護主義の影米西部を覆う」と題して、日米間の貿易摩擦を警戒していた[7]1986年(昭和61年)6月27日、54歳で同社の取締役へ就任する[8]

経営者として

1988年(昭和63年)6月29日、橋本が56歳のときに日本鋼管の常務取締役へ就任する[9]1990年平成2年)に日本鋼管の化学部門が分社化し、その会社の取締役となり[10]、また、ロシア南ヤクート炭開発協力・副社長となる[11]。その後、1991年(平成3年)には、芙蓉海運の社長に就任する[12]。この他にも、日本鋼管の系列会社であるトーアスチール社長や日本鋼管不動産の監査役等を務める[13][14]

複数の会社の重役を務めていたが、1992年(平成4年)物流コストの上昇から、海運・陸運の一体化を行い、合理化するために芙蓉海運と日本鋼管鉄鋼倉庫が同年4月1日に合併し、NKK物流(現:JFE物流)が発足する[15]。初代社長は橋本が就任する[16]1996年(平成8年)64歳の時に同社社長を退任し、同社顧問となる[17]

日本鋼管(NKK)と川崎製鉄の合併

2002年(平成14年)9月27日に日本鋼管と川崎製鉄が合併し、鉄鋼メーカーで国内2位となるJFEスチールが誕生する。これにより、NKK物流も商号JFE物流となる。橋本は71歳で、同社の特別顧問に就任する。その他にも、2020年令和2年)8月現在、学習院の同窓会である神奈川県の湘南桜友会顧問も務めている[18]

略歴

  • 1931年 - 父・橋本乾三、母・千代の長男として東京で出生する
  • 疎開中は岡山県の旧制高梁中学(現・岡山県立高梁高等学校)に通う
  • 1945年 - 学習院高等科へ編入する
  • 1950年 - 高等科卒業、学習院大学へ進学する
  • 1954年 - 学習院大学政経学部政治学科を卒業、日本鋼管へ入社する
  • 1971年 - 福山製鉄所人事課長から社長室秘書課長となる
  • 1975年 - 欧州事務所長となる
  • 1979年 - 鋼管輸出部長となる
  • 1981年 - 資材部長となる
  • 1983年 - NKKアメリカ社長・同ニューヨーク事務所長へ昇進
  • 1986年 - 取締役鉄鋼事業部・輸出営業部門担当となる
  • 1988年 - 常務取締役へ就任する
  • 1992年 - NKK物流初代社長へ就任する
  • 1996年 - 同社社長を退任し顧問となる
  • 2002年 - NKKと川鉄が合併、NKK物流がJFE物流となり同社特別顧問となる

参考文献

脚注

  1. ^ a b 人事興信録 第15版 下, 人事興信所 編, 1948
  2. ^ 学習院桜友会『Oblige』No.27, 1999年
  3. ^ 『昭和抱擁 -天皇あっての平安-』102頁
  4. ^ a b c d 湘南桜友会 第4号, 平成18年12月1日, 橋本實(昭和29年政経卒) 著『私の宝物』
  5. ^ 鉄鋼界 32(11), 日本鉄鋼連盟, 1982-11『橋本実(日本鋼管資材部長)』
  6. ^ 日本鉄鋼輸出組合月報 (868), 日本鉄鋼輸出組合, 1984-04
  7. ^ 日本鉄鋼輸出組合月報 (868), 日本鉄鋼輸出組合, 1984-04
  8. ^ Kaiun : 総合物流情報誌 7月(706), 日本海運集会所, 1986-07『〔新任取締役〕橋本實 (NKK アメリカ社長)』
  9. ^ Kaiun : 総合物流情報誌 6月(729), 1988-06
  10. ^ 化学品取引要覧 1990年版, 薬品新聞社 編, 1990.7
  11. ^ 南ヤクート炭プロジェクトのあゆみ, 南ヤクート炭開発協力株式会社 編纂 南ヤクート炭開発協力, 1990.6
  12. ^ 内航近海海運 26(531), 内航ジャーナル, 1991-11
  13. ^ 企業系列10000社 : 非上場版 1, みずき出版, 1992.3
  14. ^ 企業系列10000社 : 非上場版 3, みずき出版, 1992.3
  15. ^ 内航近海海運 27(538), 内航ジャーナル, 1992-01
  16. ^ 財界 40(11), 財界研究所, 1992-04
  17. ^ 内航近海海運 31(729), 内航ジャーナル, 1996-09
  18. ^ 湘南桜友会報 第31号 2頁, 令和2年8月1日発行

外部リンク


橋本実

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