槍を投げる
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 14:07 UTC 版)
ほとんどの槍は投擲には適さないが、投擲に適するものなら十分な威力を期待できる。その射程は約15mから一番長いもので約90mにもなるが、次の槍を投げるまでに時間が掛かるうえに、弓矢などより射程が短いため使い勝手が悪く、また、持ち運びが困難であるなど、運用上の問題点は多く、そのうえ相手側に再利用されやすいという問題もあった。再利用できないように、刺さると自壊する物を製作したほどである。それでも古代に於いては重要な戦術だった。代表例としては、ローマ軍団兵の主要装備の一つであったピルムが挙げられる。弓矢などの射撃用武器が発達していくなかで、次第に廃れていった。アトラトルやウーメラ(英語版)などの投槍器の発明や投槍自体にも様々な改良も施されたが、弓矢や投石などの射出武器ほどの性能は得られず、実用的な運用法も確立できなかった。そのため、槍は近距離・中距離戦重視の武器として発展した。今ではやり投という競技だけが残る。ただし、矢よりも長く重いため、盾に突き刺さった場合には、相手の運動性を低下させる効果が期待できる。撓りやすい素材及び棍術(琉球棒術)の棍や麦粒矢(むぎつぶや)のように中ほどが太く両端が細い麦粒形(ばくりゅうがた)の構造なら空気抵抗を受けた際の振動率も良く、細微に振動して遠くまでよく飛ぶが(遠くに飛ばすためのこのときの振動は垂直方向のままで進行するか、振動が進行方向に対し螺旋を描くように柄を軸としたトルクとなって現れ、振動を保ったうえで矢や弾丸のように回転して進行する)、投擲時に大きく角度をつけ力んで撓らせるように手離れさせると極端な振動と撓りの合力により柄材が耐えられなくなり、飛行中に爆ぜるように材の繊維方向に縦に裂け折れる。アフリカやハワイで投擲研究者が狩猟・戦闘用の槍投げを現地人に行わせたところ、しばしばこの現象が起こった。投擲した槍が振動することについてはやり投競技を行うか間近で観察する機会があれば『ビィーン』という音と共にごく微細に振動しながら飛んでゆく槍を見ることができる。
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