業績に関する幅広い観点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2010/03/22 03:42 UTC 版)
「バランス・スコアカード」の記事における「業績に関する幅広い観点」の解説
バランスト・スコアカードは、組織の業績・効率に関する評価をまとめた簡潔なレポートである。各評価尺度を1つ以上の期待値(目標値)と関連付けることで、組織の業績がそれら期待値に達していない場合に経営者に警報を発することとなる。1992年の Harvard Business Review の記事にもあるように、バランスト・スコアカードの鍵となるのはそのような評価尺度の選択方法である。 当初、バランスト・スコアカードは組織がその戦略の実施状況を監視するためのツールとして登場した。 初期のバランスト・スコアカードは4つの部分(観点)に分かれた表で表されていた。それは通常、「財務」、「顧客」、「業務プロセス」、「学習と成長」である。それぞれの観点について5から6個の評価尺度を列挙するのがよいとされる。観点の名称はこれ以外の組み合わせもあるし、観点の数がこれと異なる場合もある。これは、観点の選択によって「よりよい」設計が可能になると考えられたためである。この種のバランスト・スコアカードが抱える問題は、選択された評価尺度の妥当性である。すなわち、「あなたはなぜそれらの評価尺度を選んだのか?」という問題である。ユーザーがバランスト・スコアカードに選ばれた評価尺度に自信がない場合、それによって得られる情報も確信を持って利用できない。一般的ではないものの、このような初期のバランスト・スコアカードは今も設計され使われている。 初期のバランスト・スコアカードは設計が難しく、信頼性に乏しかった。そのため多くの場合、完成と同時に捨てられることとなった。 1990年代中盤、設計手法の改善がなされた。新たな手法では、評価尺度は「戦略的リンクモデル; strategic linkage model」や「戦略マップ; strategy map」で描かれる「戦略目標; strategic objectives」に基づいて選択される。この場合、戦略目標は従来の設計での複数の観点に分散しており、設計はより抽象的となる。経営者が各観点について5個か6個の評価尺度を選択するのは同じだが、評価尺度間の関係を図に描いて期待値(目標値)を決定する。各評価尺度の関係と目標値について合意に達した上で、バランスト・スコアカードの各尺度について適切な目標値が設定される。このような方法で評価尺度の選択の妥当性が向上し、運用が容易になる。この種のバランスト・スコアカードが現在では一般的となっている。 この修正されたバランスト・スコアカード設計手法にも問題はあるが、従来の手法よりは優れており、成功を収めてきた。 1990年代後半以降、バランスト・スコアカードを改良した手法が各種考案された。例えば、The Performance Prism、Results Based Management、Third Generation Balanced Scorecard などがある。これら手法は設計問題を解決しようとするもので、特に組織を超えて利用可能なバランスト・スコアカードの設計や、評価対象の選択という問題に関連している。 バランスト・スコアカードに関する書籍や記事では、バランスト・スコアカード自身とその設計過程を混同している。特に「戦略的リンクモデル」や「戦略マップ」という用語とバランスト・スコアカードが混同されやすい。 バランスト・スコアカードはパフォーマンス管理ツールである。経営者はそれによって戦略的問題に注目でき、戦略立案に注力する。しかし、バランスト・スコアカード自体は戦略立案のためのものではないことを忘れないことが重要である。バランスト・スコアカードは戦略立案や他のツールと同時に存在する。
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業績に関する幅広い観点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 09:23 UTC 版)
「バランスト・スコアカード」の記事における「業績に関する幅広い観点」の解説
黎明期 バランスト・スコアカードは、組織の業績・効率に関する評価をまとめた簡潔なレポートである。各評価尺度を1つ以上の期待値(目標値)と関連付けることで、組織の業績がそれら期待値に達していない場合に経営者に警報を発することとなる。1992年の Harvard Business Review の記事にもあるように、バランスト・スコアカードの鍵となるのはそのような評価尺度の選択方法である。 当初、バランスト・スコアカードは組織がその戦略の実施状況を監視するためのツールとして登場した。 初期のバランスト・スコアカードは4つの部分(観点)に分かれた表で表されていた。それは通常、「財務」、「顧客」、「業務プロセス」、「学習と成長」である。それぞれの観点について5から6個の評価尺度を列挙するのがよいとされる。観点の名称はこれ以外の組み合わせもあるし、観点の数がこれと異なる場合もある。これは、観点の選択によって「よりよい」設計が可能になると考えられたためである。この種のバランスト・スコアカードが抱える問題は、選択された評価尺度の妥当性である。すなわち、「あなたはなぜそれらの評価尺度を選んだのか?」という問題である。ユーザーがバランスト・スコアカードに選ばれた評価尺度に自信がない場合、それによって得られる情報も確信を持って利用できない。一般的ではないものの、このような初期のバランスト・スコアカードは今も設計され使われている。初期のバランスト・スコアカードは設計が難しく、信頼性、実効性に乏しかった。そのため多くの場合、完成と同時に捨てられることとなった。 90年代以降 1990年代中盤、設計手法の改善がなされた。新たな手法では、評価尺度は「戦略的リンクモデル; strategic linkage model」や「戦略マップ; strategy map」で描かれる「戦略目標; strategic objectives」に基づいて選択される。この場合、戦略目標は従来の設計での複数の観点に分散しており、設計はより抽象的となる。経営者が各観点について5個か6個の評価尺度を選択するのは同じだが、評価尺度間の関係を図に描いて期待値(目標値)を決定する。各評価尺度の関係と目標値について合意に達した上で、バランスト・スコアカードの各尺度について適切な目標値が設定される。このような方法で評価尺度の選択の妥当性が向上し、運用が容易になる。この種のバランスト・スコアカードが現在では一般的となっている。 この修正されたバランスト・スコアカード設計手法にも問題はあるが、従来の手法よりは優れており、成功を収めてきた。 1990年代後半以降、バランスト・スコアカードを改良した手法が各種考案された。例えば、The Performance Prism、Results Based Management、Third Generation Balanced Scorecard などがある。これらの手法は設計問題を解決しようとするもので、特に組織を超えて利用可能なバランスト・スコアカードの設計や、評価対象の選択という問題に関連している。バランスト・スコアカードに関する書籍や記事では、バランスト・スコアカード自身とその設計過程を混同している場合が多い。特に「戦略的リンクモデル」や「戦略マップ」という用語とバランスト・スコアカードが混同されやすい。 バランスト・スコアカードはパフォーマンス管理ツールである。経営者はそれによって戦略的問題に注目でき、戦略立案に注力する。しかし、バランスト・スコアカード自体は戦略立案のためのものではないことを忘れないことが重要である。バランスト・スコアカードは戦略立案や他のツールと同時に存在する。
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