戦略目標
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/01 01:40 UTC 版)
大戦略において第一に問題となるのは目的であり、これがあらゆる戦略的手段が指向する中心点となる。どのような国家でも国家の生存と安全保障こそが死活的利益(vital interest)であるが、背景となる国際情勢や国内の政治情勢によって目的はさまざまな意味内容を持つ。大戦略の課題はこの政治的に決定される目的から具体的な目標を導き出すことであり、それは国益と脅威を明確化することを意味する。戦略家は国内の政治情勢からこの作業を進めるが、一般に国益に関する異なる見解は競合しながら並存している。しかもその戦略目標は常に流動的でありうる。ウィリアム・マーレーとマーク・グリムズリーが戦略の形成過程に関する研究の中で、大戦略が不確実性、曖昧性、偶然性の中で形成されていることを論じている。そして、地理、歴史、世界観、経済的要因、政府・軍事組織が戦略を決める重要な要因となっていると述べている。 まず大戦略の大前提として定義されるの行動の指針は国家基本利益(The national interest)により規定される。これは普遍的かつ永続的な国家活動の目的であり、国是や国家価値とも呼ばれる。これは抽象的な国家の安全、個人の自由、戦争・戦争の脅威排除、生活水準の向上などとしてまとめられているが、国益(National interest)として政府首脳により政治的に明確化される。国益を確保、または保持するための国家目的(National objectives)が定められ、ここで戦争の防止、国土防衛、地域的安定、友好国との団結、または戦争の勝利などが挙げられる。この国家目的を達成するための活動方針として定められるのが国家政策(National policies)である。政治や外交、軍事、経済、心理などの諸力をまとめあげる。そして大戦略はこの国家政策を実施する上で競合する他国に対処しながら諸力を効果的に活用する計画として定まり、その下で軍事戦略などが策定される。
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