核特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 15:52 UTC 版)
テクネチウム99mは、質量数99の後に「m」が付いているように、準安定核異性体である。これは、原子核が通常よりも長く励起状態にある崩壊生成物であることを意味する。原子核は、ガンマ線や内部転換電子の放出により、最終的には脱励起して基底状態になる。これらの崩壊様式はいずれも、テクネチウムを別の元素に変換することなく核子を再編成する。 99mTcは主にガンマ線放出によって崩壊するが、その割合は88%よりやや少ない。(99mTc → 99Tc + γ) このガンマ崩壊の約98.6%は140.5keVのガンマ線になり、残りの1.4%は僅かに高い142.6keVのエネルギーのガンマ線になる。これらの放射線は、99mTcが医療画像診断用の放射性トレーサー(英語版)として使用される際に、ガンマカメラで拾われる放射線である。残りの約12%の99mTcの崩壊は内部転換によるもので、その結果、高速の内部転換電子が(この種の崩壊の電子によく見られるように)同じく約140keVのいくつかの鋭いピークを伴って放出される(99mTc → 99Tc+ + e-)。これらの変換電子は、ベータ線の電子と同じように周囲の物質をイオン化し、140.5keVおよび142.6keVのガンマ線とともに総被曝線量に寄与する。 純粋なガンマ線放出は、医療用画像処理に望ましい崩壊様式である。他の粒子がカメラよりも患者の体に多くのエネルギー(放射線量)を蓄積するためである。準安定同位体転移は、純粋なガンマ線放出に近い唯一の核崩壊様式である。 99mTcの半減期は6.0058時間で、殆どの核異性体に比べてかなり長い(少なくとも14桁)が、唯一無二ではない。この半減期は、他の多くの既知の放射性崩壊様式に比べるとまだ短く、医療用画像診断に使用される放射性医薬品の半減期の範囲の中央に位置している。 ガンマ線放出または内部転換の後、得られた基底状態のテクネチウム99は、半減期211,000年で安定核種のルテニウム99に崩壊する。この過程では、ガンマ線を伴わない弱いベータ線が放出される。このように娘核種からの放射能が少ないことは、放射性医薬品として望ましい特徴である。 Tc 43 99 m → 6 h γ 141 keV Tc 43 99 → 211 , 000 y β − 249 keV Ru 44 99 ( stable ) ⏞ ruthenium − 99 {\displaystyle {\ce {^{99\!m}_{43}Tc->[{\ce {\gamma \ 141keV}}][{\ce {6h}}]{}_{43}^{99}Tc->[{\ce {\beta ^{-}\ 249keV}}][211,000\ {\ce {y}}]\overbrace {\underset {(stable)}{^{99}_{44}Ru}} ^{ruthenium-99}}}}
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