核的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 07:34 UTC 版)
ベリリウムは、高エネルギーな中性子線に対して広い散乱断面積を有しており、その散乱断面積は0.01 eV を上回るものに対しておよそ6バーンである。散乱断面積の正確な値はベリリウムの結晶サイズや純度に強く依存するため実際の散乱断面積は1桁ほど低くなり、ベリリウムが効果的に減速させることのできる中性子線のエネルギー範囲0.03 eV 以上のものに限られる。このため、ベリリウムは高エネルギーな熱中性子は効果的に減速させることができるものの、エネルギーの低い冷中性子は減速させることができずに透過してしまう。この性質を利用して、さまざまなエネルギーを持つ中性子の中から冷中性子のみを取り出すためのフィルターとして利用される。 ベリリウムのおもな同位体である9Beは(n, 2n)中性子反応によって1つの中性子を消費して2つの中性子を放出し、2つのアルファ粒子に分裂する。したがって、ベリリウムの中性子反応は消費する中性子よりも多くの中性子を放出して系内の中性子を増加させる。 Be 4 9 + n ⟶ 2 ( 2 4 He ) + 2 n {\displaystyle {\ce {^{9}_{4}Be{}+{\mathit {n}}->2(_{2}^{4}He){}+2{\mathit {n}}}}} 金属としてのベリリウムは大部分のX線およびガンマ線を透過するため、X線管などのX線装置におけるX線の出力窓として有用である。ベリリウムはまた、ベリリウムの原子核と高速のアルファ粒子との衝突によって中性子線を放出するため、実験における比較的少数の中性子線を得るための良好な中性子線源である。 Be 4 9 + 2 4 He ⟶ 6 12 C + n {\displaystyle {\ce {^{9}_{4}Be{}+_{2}^{4}He->_{6}^{12}C{}+{\mathit {n}}}}}
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