核生成速度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 08:38 UTC 版)
核生成速度 I は臨界クラスタの平均数 n* とクラスタの拡散速度 β {\displaystyle \beta } に依存する。 I = n ∗ β {\displaystyle I\ =\ n^{*}\beta } n*は n ∗ = N exp ( − Δ G ∗ k B T ) {\displaystyle n^{*}\ =\ N\exp \left({\frac {-\Delta G^{*}}{k_{B}T}}\right)} となる。ここで、 ΔG* :臨界半径に対応する臨界自由エネルギー N :単位体積あたりの潜在的核生成部位の数 kB :ボルツマン定数 一定のサイズに達したクラスタ数は、系の全分子数・クラスタ生成に必要な自由エネルギー・温度の関数となる。クラスタ数は温度と共に増加する。 臨界核に新たな原子が加わる確率は、Volmer-Weber理論によると B = A exp ( − ( Q + Δ G ∗ ) k B T ) {\displaystyle \mathrm {B} \ =\ A\exp \left({\frac {-(Q+\Delta G^{*})}{k_{B}T}}\right)} となる。ここで A は分子が結合する表面の形状・粒子の振動周波数に依存する係数、Qは分子の移動に必要な活性化エネルギーである。 これにより核生成部位での拡散を考慮することができる。だがこの理論の問題点は、臨界半径以上のクラスタの形成を無視し、クラスタのサイズ分布が一定であると仮定していることである。 核生成速度は I ( T ) = A exp ( − Q k T ) exp ( − 16 π γ s l 3 3 Δ H s 2 ⋅ 1 k T ⋅ T m 2 Δ T 2 ⋅ f ( θ ) ) {\displaystyle I(T)\ =\ A\exp \left({\frac {-Q}{kT}}\right)\exp \left({\frac {-16\pi \gamma _{sl}^{3}}{3\Delta H_{s}^{2}}}\cdot {\frac {1}{kT}}\cdot {\frac {T_{m}^{2}}{\Delta T^{2}}}\cdot f(\theta )\right)} と表される。ここで、 γ:表面張力. ΔHs:単位体積あたりのエンタルピー Tm:融点 θ:接触角 温度が低すぎると拡散速度が低いため、核生成部位に到達する粒子も少なくなり、核生成速度は遅くなる。だが、温度が高すぎると分子が核から抜けだしてしまい、やはり核生成速度は遅くなる。 定常状態での核形成に要する時間 τ {\displaystyle \tau } は、 τ = 16 h π σ Δ G v 2 a 4 exp ( Δ G k B T ) {\displaystyle \tau \ =\ {\frac {16h}{\pi }}{\frac {\sigma }{\Delta G_{v}^{2}a^{4}}}\exp \left({\frac {\Delta G}{k_{B}T}}\right)} という式で表される。ここで a は平均粒子径である。
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